表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/129

第30話 ゴブリンズ


『トルシェ、ちょっと待て。向こうの方から話し声が聞こえる』


 迷宮の通路をトルシェと声を出すことなく頭の中で雑談しながら歩いていると、右手への分岐路(ぶんきろ)の方から話し声のような音が聞こえてきた。この音の感じは間違いなくゴブリンだ。


 姿勢を低くして、右手の分岐の先の方を確認すると、やはり緑のゴブリンの二匹組だった。そいつらが何やら喋りながらこちらに歩いて来る。


『ゴブリンの二匹組だ。俺が左の一匹を『スティンガー』で仕留(しとめ)めるから、トルシェは適当な魔法で右のゴブリンを仕留めてくれ』


『分かりました』


 いったん左手でエクスキューショナーとリフレクターを抱え、腰の『スティンガー』を右手に構え、


『いくぞ、1、2、3』


 3の合図で飛び出した俺は、20メートルほどまで近づいて来ていたゴブリンの二匹組の左の一匹に向かって『スティンガー』を投げつけた。


 わずかに放物線を描いて飛んでいく『スティンガー』の横をトルシェの『ファイア・ボール』が高速で追い抜いて、指示した通り右のゴブリンに命中して大爆発した。


 そのゴブリンの爆散(ばくさん)した体の部品が床の上に散らばって燃えている。俺が狙った左のゴブリンはこの爆発に巻き込まれ、壁にたたきつけられてしまい、そのまま動かなくなった。


 俺のスティンガーは爆風で吹き飛ばされはしなかったが、攻撃相手を失いそのまま飛んでいって床に転がった。俺自身にも熱風が吹きつけて来て体が後ろに強く押されたものの、なんとか持ちこたえることができた。


『ちょっと、やりすぎでしたかね? テヘ』


『逆じゃないんだから気にするな』


 しかし、トルシェの魔法、どんどん強くなってる気がする。幸い俺の顔や頭にはゴブリンの肉片がくっついていないようだが、着ているプレート・アーマーや、ズボンには半分炭になったゴブリンの肉片がこびりついてしまった。俺には臭いは分からないが、放っておくとそのうち臭くなりそうだ。


 爆散してしまったゴブリンは燃えカスになってしまったが、壁にたたきつけられたゴブリンは燃えていなかったので、腰布を剥ぎ取ろうとしたのだが、まだ、わずかに息があるようだ。結構しぶとい。


 放っておいてもそのうち死んでしまいそうだが、エクスキューショナーで首をねて息の根を止めてやった。


『ダークンさん、ゴブリンの腰布はやめませんか』


 そういえば、トルシェはこれをかなり臭がっていたな。しょうがない、布は貴重だが、あきらめよう。


 床に転がってしまった『スティンガー』を拾い上げて腰に差し、


『また、元の通路に戻って、探索を続けよう』


『はい。やっぱり、緑のゴブリンは弱かったですね』


『いった通りだっただろ?』


『だけど、わたしが最初に出会ったときはすごく強かったんですけど』


『ふーん。ようはあれか? トルシェ、あたしTUEEEって言いたかったのか? ハハハ(カタカタカタ)


『ちがいます、それじゃあ行きますよ』


『分かったわかった、そう膨れるな』


 先を行くトルシェに慌てて追いつき、初めに通っていた通路に戻ってその先を歩いていく。




『また、右の通路から音がする』


『ゴブリンの巣があるんですかね?』


『可能性はあるな。とりあえず目先の敵をたおそう。さっきみたいに「ファイア・ボール」だと音が大きすぎるな。あれは、たくさん敵が出て来た時に撃つようにしてくれるか? 今度は弓矢でたおしてくれ』


 理屈をこねて一応トルシェを納得させたが、実際は、『スティンガー』の出番がなかったのが悔しかっただけである。俺も結構小さなヤツだった。


 のぞき見た右の通路には、また二匹組のゴブリンがいた。さっきの『ファイア・ボール』の爆発音を聞いているはずだがのん気になにやらおしゃべりしながらこちらに歩いてくる。


『さっきの要領(ようりょう)で、1、2、3でいくぞ、1、2、3』


 俺の投げつけた『スティンガー』が放物線(ほうぶつせん)を描いていく。下の方をトルシェの矢が追い抜いて、右側を歩くゴブリンの眉間みけんを貫いた。


 今回は、左を歩くゴブリンの反応が鈍かったこともあり、俺の投げた『スティンガー』はうまい具合(ぐあい)にそいつの胸に突き刺さった。


 二匹とも声も出さずに即死したようで、その場に倒れ込んで動かなくなった。


 武器を回収して、またもとの通路に戻り歩きはじめる。


『毎回、二匹組だな。一匹でいたゴブリンはいままで一度しか見ていないぞ』


『ゴブリンも、わたしたちみたいに、チームを作ってるんですかね。その一匹でいたゴブリンは、ちょっと前までのわたしみたい』


『トルシェ、むかしのことなんてもうどうでもいいじゃないか。お前には俺がついている』


『ダークンさん、ありがとうございます。いつまでもついて行きます』


『そうか、これからもよろしくな。それで、話を戻すが、あのゴブリンはスライムみたいにこのダンジョンの中で勝手に湧いて出てるのかもしれないな』


『ここは「大迷宮」の中ですからあり得ます』


『前から気になっていたんだけど、このダンジョンの中には宝箱みたいなものはないのかな? あと、モンスターをたおすと手に入るドロップ・アイテムとか』


『宝箱は、「大迷宮」深部、10層あたりから現れるそうです。ドロップ・アイテムというのは聞いたことがありません。モンスターの体とか、モンスターが武器や防具をつけていたらそれは手に入ります』


『そうなんだ。俺の思っているようなドロップ・アイテムはないんだな。あと、アイテム・バッグとかアイテム・ボックスとか、見た目の容量以上に物が入って重さもほとんど感じないっていうアイテムはないかな?』


『それは、ありますよ。まさにピンキリだそうで、それこそこの「大迷宮」の深部で出てくる宝箱から見つかるらしいです』


『そのうち手に入れたいアイテムだな』


『そうですね、でも、ダークンさんはその格好(かっこう)を先に何とかした方が良いんじゃないでしょうか』


『そんなに変か?』


『もう、見慣れてますからいいですけれど、その格好(かっこう)、かなり来てますよ』


『そんなに来てるのか。そのうち何か手に入るだろ、気長にいこう。……おっ、またゴブリンがいるぞ』


『はい』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ