表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/129

第29話 探索再開


 ドラゴンの残った片目を探すという大きな目標が出来た。


 動き回っていればそのうち手掛かりが見つかるだろうというくらいの軽い気持ちでいるのだが、わが眷属(けんぞく)はそうでもないらしい。


『ダークンさん、どこに行きます? ダークンさんのまだ行ったことのない場所がいいですよね!』


『ね!』って言われてもなー。行ったことのないところは、おそらく危険なんだよ。


『それじゃ、元の通路の反対側にも通路がつながっているからそこに行ってみるか? たぶんだがその通路はぐるっと回って、俺たちの拠点の方に回ってると思うんだがな』


『とにかく、行ってみましょう。さあさあ、早く行きましょうよ』


『分かった、分かった』


『返事は一回でお願いします』


『はい、はい』


『もう』


 そう言って、トルシェがすたすた先に立って、通路への出口向かって歩き始めてしまった。(あわ)てて後を追い、そこからは並んで通路を歩いていった。もちろん、スライムは見つけ次第殺している。


 しばらく歩いていると予想通り、左へ曲がる曲がり角に出た。その手前で、通路の先にゴブリンなどいないことを確認してから角を曲がり、その先を歩いていく。


 やはり、あの上り階段がその先の右手に見えてきた。


『一周したみたいだな』


『どうします?』


『上に上がってみるか? 上は、おまえが倒れていた階層だ。俺もまだあの階層は少ししか回ってないんだ』


『嫌なことを思い出させないでくださいよ。でも、ダークンさんがまだ少ししか回ってないところなら行ってみましょう』


 そういうことで、階段を上ることにした。上をみると、階段がどこまでも続いているように見える。


『この階段、嫌になるほど長いよな。一体何段あるんだろ? 300段くらいありそうだが、数える気にもならない』


『ダークンさん、ここも「大迷宮」の中なので、おそらく300段だと思います』


『「大迷宮」だと、300段なのか?』


『はい、今まで分かっている「大迷宮」の階層をつなぐ階段はどれも300段だったそうです』


『そうなんだ。だれがこの迷宮を作ったのかは知らないが、ずいぶん迷惑な話だな』


『もしかしたら、われわれの「常闇とこやみの女神」さまかもしれませんよ』


『こら、その名を口にするな! バチが当たっても知らんぞ。しかし、その可能性もあるかもな』


 ちょっと前にでっちあげた神さまがこのダンジョンを造ったという可能性は、完全、究極(きゅうきょく)、アブソルートリーゼロだが、雰囲気(ふんいき)を出すためだけに、トルシェのばかげた言い分に『可能性もある()()な』などと言う、自分でもなにを言っているのかわからない言葉をつぶやいてうなずいてやった。


 こんな階段をえんえんと上っていると、疲れたわけでもないのに、会話もなくなり、だまってただ足を動かしているだけになった。


 そして、とうとう最後の300段。


 上り切って振り返ると、やはり、黒いかすみが渦巻いている。


『やっぱりあれは瘴気しょうきだよな?』


『そうですよね。「闇の眷属」ってある意味最強ですね。何かあればあそこに帰ってじっとしていれば誰もあの中に入って行けませんから』


『まあ、そういう考え方もあるな』


『そうだ、ダークンさん、ご神体を(おが)んでおきましょう』


『トルシェ、よく気付いてくれたくれた。トルシェに言われなければ忘れるところだった。ご神体さまはあっちの方角だよな?』


『いえ、そっちじゃなくて、あっちの方じゃないですか?』


『そんなことないだろ。まあ方向は適当でいいや。()(こころ)。ちゃんと拝めばいいんだよ』


『そんな適当でいいんですか?』


『さっきも言ったろ。気は心って。それじゃあ、行くぞ。一礼、二礼』


 カン(パン)、カン(パン)


『一礼。よーし。これでまた「名前を口に出すことがはばかられる神さま」の徳が上がったはずだ。いずれご神体さまに魂が宿る。その日は近いぞ!』


『われわれの「名前を口に出すことがはばかられる神さま」はちょっと長くて言いづらくありませんか?』


『それもそうか、それなら、これからは、「わがしゅ」と言うことにしよう』


『かなり短くなりましたね「わがしゅ」』


『まーな。よし、それじゃあ、探検を始めるぞ。

 それで、おそらくこの階層は碁盤(ごばん)の目のようになっている。碁盤の目って分かるよな?』


『分かります』


『通路と通路の交わっている場所に近づくと、手前からじゃ左右の通路が見えないぶん危険だ。気配を感じられたらいいんだがな。だから、まず最初は、ぐるりと周りを一周してみようと思うんだがどうだ?』


『そうしましょう』




 今度は左に進むことにして、トルシェと話をしながら歩いている。


『おそらく、ゴブリンが出てくるからな。まあ、あいつらはザコだからたおしても腰布(こしぬの)くらいしか役に立つもの持ってないしな』


『ザコって、まさか、あの緑色のゴブリンのことを言ってるんじゃないですよね』


『俺は、緑のゴブリンしか見たことないぞ』


『あれは、おそらく、変異種か上位種だと思います。通常のゴブリンは薄汚い灰色の皮膚をしていて、めったに冒険者を襲うことはないモンスターなんです』


『そうなのか? ずいぶん弱っちーと思ったがな』


『ようは、ダークンさんは、俺TUEEEがしたかったわけね』


『そんなんじゃない。ただあいつらは弱いと感じただけだ。トルシェ、どうしておまえが、俺TUEEEなんて言葉を知っているんだ?』


『さあ、天啓(てんけい)? というより、わたしとダークンさんとの魂のつながり? とか』


『ほんとかよ。だが、そんなこともあるかもしれないな。今こうして口に出さずにしゃべってるのも、いわば、魂のつながりってことだろ?』


『スケルトンのダークンさんと魂のつながりってちょっと怖いです』


『そんなことを言っても、おまえは俺の眷属じゃないか?』


『そうでした、わたしは「わがしゅ」のしもべ「闇の眷属」のダークンさんの眷属、ダーク・エルフのトルシェでした。(した)()も下っ端でした』


『おい、ちょっと待て、向こうの方から、話声が聞こえる』





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ