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闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


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第19話 支配の指輪


 少女を負ぶって長い階段を()りきり、自分で思っているだけの拠点に向かって歩き続ける。


 その間、指輪の輝きはいつの間にか収まっていた。いまは少女の落ち着いた寝息が背中から聞こえている。


 ふと見ると、背負った少女の足の傷も、折れ曲がった腕もすっかり治っているように見える。


 俺の左手の薬指にはめた金の指輪だが、抜こうとしても指に根が生えたように抜けなくなってしまったことで、呪いの指輪かと思っていたが、そうでもなかったようだ。


 ただ、少女の指輪と共鳴(きょうめい)したように輝いたのには驚いた。


 俺の指輪と彼女の指輪になんらかのつながりのようなものがあるようだが、いったいどういった関係があるのだろうか? 少女も回復したみたいだし、ダメもとで先に鑑定石に急ごう。


 案の定(あんのじょう)、通路にはまた黒スライムが()いていたが、少女を負ぶっているため両手が塞がり武器が使えない。床でうごめいている黒スライムだけは、足で蹴り飛ばして潰していくことができた。


 ゆっくり足の甲の上に乗せ、そこから加速をつけて通路の壁に蹴り飛ばすのが黒い液を足元で跳び散らかさないためのコツだ。


 スライムを蹴飛(けと)ばし蹴飛(けと)ばし、ようやく鑑定石のある部屋にたどり着いた。


 手に持った武器やリュックを(ゆか)に下ろし、背負った少女も注意しながらゆっくり(ゆか)に下ろして、そこに寝かせておいた。寝息を立てながら良く寝ている。


 少女の右手を取り、その中指にはまった指輪を抜き取ろうとして指をあてたら簡単に抜け落ちた。


 少女を起こさずに済んで良かったが、自分の指輪がいくら引き抜こうとしても引き抜けなかったのにもかかわらず、関連のありそうな指輪のくせに、こうもあっさり少女の指から抜け落ちるのは何か理不尽(りふじん)な怒りを覚える。


 手に取った指輪を見ると指輪の内側に確かに模様(もよう)が刻まれている。


『ᛞᛖᛉᛏᛖᚱᛁᛏᚣ』


 英語っぽい感じもしないではない、XMYTMRITA? 全く意味が分からない。俺の指輪の裏側に刻まれていた模様は、どんなだったかなー?


 残念だが全く思い出せない。俺の骨の指から抜けそうもないので確かめることができなくなった。いざとなれば、指ごと抜けばいいんだが、そこまでする気は今のところない。何か書き留める物がほしいな。



 どれ、この指輪を鑑定石の上に置いてみますか。うまくいけば何かわかるかもしれない。


 少女の指輪を鑑定石の上に置き、横に刻んである文字に手を触れた。


<鑑定石>

「鑑定結果:

名称:器用さの指輪

種別:眷属の指輪(ルーンリングズ)

特性:支配の指輪を装備する者の眷属(けんぞく)となる。

 支配の指輪の影響圏内に入っている場合、装備者の能力が大幅に上がる。特に器用さが顕著(けんちょ)に上昇する。気力はもとより肉体の損傷(そんしょう)も回復する。支配の指輪の装備者と言葉を介さずとも意思の疎通(そつう)を行うことができる」

 かなりの情報が得られた。

 少女の傷が治ったのは指輪の力だったと考えていいだろう。つまり、俺のこの左手の指輪は『支配の指輪』ということになる。どっかで聞いた火山の中に棄てられた指輪そっくりだ。


 しかも、この(ゆか)で眠る少女は指輪をはめている限り俺の眷属になるようだ。


 あれ? 指輪をしていないときは俺の眷属ではなくなるのか? それとも、一度眷属になれば恒久的(こうきゅうてき)に眷属のままなのか?


 いずれ試す必要があるが、騒がれても困るので、少女にはこれまで通り指輪をはめていてもらおう。


 ところで眷属ってなんだ? 少女の右手の中指に指輪をはめながら思案(しあん)する。


 普通の『眷属』といえば、親せきという意味だと思うが、この子が俺の親戚になったわけではあるまい。そういえば俺は自称だが「闇の眷属」だった。

 と、考えると、『眷属』とは、どうも子分とか、従者とかそんな意味だと考えるのが妥当か。この()が俺の子分か。それも悪くないな、


ファファファ(カッカッカッ)


「う、うう」


 なんだかうれしくなって高笑(たかわら)いをしていたら、床に寝ていた少女を起こしてしまったようだ。


 ハッと見開かれた少女の目と俺の目が合った。


「ぎゃー!」『あれ? びっくりしたけど、このスケルトン、こんなに近くにいるのに怖くない?』


 少女の言葉? いや考えていることが、頭の中に伝わって来た。ほー、これが「言葉を介さずとも意思の疎通を行うことができる」ってことか。


『どこからか声が?』


『俺の言葉が分かるか? 言葉にしなくていいから頭の中で考えてくれるか』


『は、はい。よくわかります』


『そうか、それはよかった。ところで、おまえの名前はなんだ? 何て呼べばいい?』


『わたしの名前は、トルシェ・ウェイスト。トルシェと呼んでください』


『それじゃあ、トルシェ、俺を見て怖くはないか?』


『今までのわたしなら間違いなく身動きもできないくらい怖いと思ったと思いますが、いまは不思議なことに、全く怖くないというか、かわいらしい? そんな気がします』


 眷属、すごいな。となると、俺はトルシェのご主人さまだな。悪くない。そのかわり、トルシェに俺の思っていることが伝わらないように気をつけないといけないぞ。


『わたしは、あなたのことをどう呼べばいいですか?』


『俺か?』


 しまったな、「闇の眷属、俺!」とかバカなことを言ってなくて自分の名前くらい決めておけばよかった。この前何か考えてたけど、あれは何だったかな。思い出せないぞ。





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