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闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-  作者: 山口遊子


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第128話 魔神、最終第三形態


 部品をいためてしまったリンガレングにはいまのところ魔神の拘束(こうそく)を維持してもらうしかないようだ。


『ダークンさん、いきます!』


 アズランの声が頭にひびいた俺は、魔神の後方から前方に回り込んで、はるか頭上のアズランを見上げた。


 アズランは魔神の左眉に移動して残った左目にもう少しで『断罪の意思』を突き込もうとしているところだった。アズランが『断罪の意思』を握り直し魔神のまぶたの隙間に刃先を突き入れようとした瞬間、いきなり魔神の左目が開いた。左目を縫い合わせていた紐は勝手にちぎれたようだ。


 まずい!


 魔神の左目から閃光がほとばしるのとアズランが『断罪の意思』を左目に突き入れるのが同時だったようだ。


 ギャアアオオーーン!


 再度魔神の悲鳴?があたりに響き渡った。


 その大音声だいおんじょうと一緒にアズランが上空から落下して来た。アズランの右腕は『断罪の意思』ごとどこかに消えてなくなっている。


 落下地点にまわり込む俺。亀裂(きれつ)が入ってボロボロになったゆかが走りにくい。


『トルシェ、アズランがやられた。いま落ちてくるアズランを受け止めるからトルシェが「ヒール・オール」で治してやってくれ』


 うまく回り込んでアズランを受け止めなくてはならない。


 黒い『タセの鉢巻き』をひらひらさせながら仰向けに落っこちてくるアズランには意識はないようでぐったりしている。アズランの『眷属の指輪』も右腕ごと無くしてしまっているので、回復が始まらない。


 ここだ!


 上を見ながらタイミングをはかり、アズランを何とか受け止めることができた。


 お姫さま抱っこで受け止めたアズランを見ると、右手の二の腕の途中から先が消えて無くなっており、その傷口は黒く焦げている関係で出血はわずかで済んでいるようだ。すぐに、こちらに駆けてくるトルシェに向かって俺も走り寄り、


『トルシェ、頼む』


「任せてください。『ヒール・オール』!」


 俺の腕の中でお姫さま抱っこされたアズランにトルシェが『ヒール・オール』をかけた。すぐにアズランの傷口がほんのり発光し始めた。これで、アズランは大丈夫だろう。


 気を失ったままのアズランをゆかの上にそっと寝かせておいた。少しずつ、腕が再生していくのを見ているのは楽しいのだが、そういう訳にもいかないし、アズランの『眷属の指輪』も見つけないといけない。


 さきほどのアズランの文字通り捨て身の攻撃で、魔神の遠隔攻撃はほとんど封じることができたんじゃないか? ここからはヤツの物理攻撃に気を付けてトルシェの遠隔攻撃と、コロの触手と瘴気攻撃で少しずつ削っていこう。


『マスター、最初に言いましたが、第三形態時の魔神の防御は()()です。第三形態時のみ有効となる神滅回路モードでの特効攻撃『同化(どうか)』をもつ私が直接攻撃をすることで初めて魔神を撃破できます。しかし、現在破損部品(はそんぶひん)が影響して拘束具強化以外の神滅回路(しんめつかいろ)が起動しません』


『まいったな。なんとかならないか?』


『破損個所は神滅回路起動中には自動修理(じどうしゅうり)不能な部品のため『同化』を起動し状態を維持するに足る内部エネルギーを確保できません。代替だいたい部品は部品倉庫の棚の上に並んでいますが、魔神をたおさなければダンジョンゲートは開きません』


『それじゃあ、俺たちは魔神とにらめっこしながらの()()()()()()か?』


『結論から言うとそうなります』


『まじかー! まてよ、そういえば、リンガレングのいう代替だいたい部品てのはどんな形なんだ?』


『棒状をした「エネルギーチューブ」になります』


 棒状の『エネルギーチューブ』? どこかで聞いたことがあるような。


 あっ! あれなら今持ってる。俺が宝物庫と思って入った最初の部屋で何気なく一本手に取ったピカピカの部品だ!


 たしか、『キューブ』と一緒に鑑定してそのまま『キューブ』に収納してしまったような気がするのだが。……、あ、あったー!


『キューブ』から出てきたのは金色でピカピカの棒。


『リンガレングのいう部品はこれじゃないか?』


『これです。しばらくお待ちください。今故障部品と一時的に交換します』


 そう言ってリンガレングは自分の腹部に隠れていたパネルのような部分を開いて二本の足だか手を動かしてまず中から黒く変色した金属棒を取り出し、俺から受け取った金属棒をパネルの中に突っ込んですぐにパネルを閉じた。黒く変色した金属棒は俺が『キューブ』の中にあずかった。


『リンガレング、機能一時回復しました。神滅回路、『同化』モード移行。……、移行正常完了。これより魔神をめっします!』


 八本の足で踏ん張って、いちど体を上下させたリンガレングが魔神に近づいていく。


 リンガレングの動きに気づいたのかどうかは分からないが、リンガレングの接近に合わせて魔神の右足が鎖の許す範囲で思い切り持ち上げられて踏み下ろされた。その踏みつけ攻撃を軽くかわしたリンガレングが魔神の体に取りついて器用に頭の方に登っていく。


 そのまま、リンガレングは魔神の顔までよじ登っていった。リンガレングを顔から引き離そうと魔神は両手を狂ったように動かしていたが鎖とリンガレングの器用な動きに阻まれてアズランの時と同じようにリンガレングを捉えることができない。


 魔神の顔の真ん中までよじ登ったリンガレングはそこで大きく八本の足をいっぱいまで開くとそのまま魔神の顔、頭の中に飲み込まれて行った。


 そして、一度だけ魔神の体全体が震え、そのあとぴたりと魔神は動きを止めてしまった。


 魔神の頭からは、こんな音が頭の中からしてはマズいというような何かをつぶしながらきだすような鈍い音が聞こえ始めた。


 一分ほどその音が続いて、そして、


 バーン!


 魔神の頭が吹き飛んだ。


 そのとたん、それまで動きを止めても自力で立っていた魔神の体から力が抜けて、その場に(ひざ)をつき、両手をかせにつながった鎖で後方に引っ張り上げられた姿勢のまま、前のめりに突っ伏(つっぷ)した。首の付け根に張りついていたリンガレングが器用にそこからゆかに跳び下りた。


『魔神、討滅完了!』


 リンガレングのどこか(ほこ)らしげな声が頭の中に響いてきた。



次回で最終話です。最後までよろしくお願いします。

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