37.見つけてね
クリスティーナとしばらく話した後、シルフィーはルークのもとに帰ってきた。
「お待たせ、ルーク。」
「シルフィー、もういいの?」
「うん。」
満足そうに頷くシルフィーに、ルークは少しむくれていた。
「クリスティーナ嬢と仲良しだね。」
「ええ!自慢のお友達なの。」
けれどそんなささやかな嫉妬にも気付かず、シルフィーは満面の笑みで頷いた。そんな笑顔のシルフィーも可愛くて、ルークはもう何も言えなくなってしまった。
「はあ。」
そして重々しいため息をついた。
「どうしたの?ルーク。」
「シルフィーは可愛いすぎる。」
「へ?!」
ルークが真顔でそんな事を言うものだから、シルフィーは顔を真っ赤にした。
「ど、どうしたの!?ルーク!?」
おろおろと戸惑うシルフィーは上目遣いでチラチラとルークの様子を伺ってくる。その姿がまた可愛らしくて、ルークはさっきより重いため息をついた。
「はぁ……。隠しておきたい。」
「ルーク?」
何もわかっていないシルフィーを見ると、このまま何も知らないでいて欲しいと強く感じた。
「シルフィー、お願いがあるんだ。」
「な、何?」
「シルフィーがいつもこっそりやってる視覚阻害魔法。俺が戻ってくるまで全力でやって。」
「へ?」
「俺はこれから生徒会の仕事が少し残ってるんだ。」
「お仕事?」
「うん。カリナ嬢からある物を取り返したいんだ。」
シルフィーは体をこわばらせた。
「だから、俺は今からカリナに近付くけど、俺が好きなのはシルフィーだけだから。可愛いって思うのも好きだと思うのもシルフィーだけ。いい?」
「う、うん」
「それと、シルフィーは可愛いから他の男から声かけられちゃうと思うんだ。それは俺が後でその男に何するか分からないから、全力で他の人から見えないようにしてて!」
「ルーク、落ち着いて?」
「落ち着いてるよ。」
ルークのまっすぐな視線に、シルフィーは引き込まれていく。
「ちゃんと隠れてるから。ルークもちゃんと見つけてね。」
ルークは不敵な笑みを浮かべた。
「当然。何処にいてもシルフィーを見つけ出すよ。」




