住人たち 前編
25日から27日まで、学生の身分関係ないですが、ボーイスカウトの基礎技能訓練があるため、実質投稿が不可能なので、投稿が遅れます。
執筆がPSVitaなので、契約もしてませんし、家から離れると執筆が出来なくなってしまうんですよ。
次の投稿は、早くても27日以降になります。
ジュラと手を繋いで外に出かける。
買い出しだが、まあ結構教えてもらった場所まで距離がある。
そこまで徒歩で移動。
今日は実にいい天気だ。
「……いい天気」
ジュラもおんなじことを考えていたらしい。
こういう日は、普段家でだらだらしている俺も、外に出ようかと思えるからな。
出かけるには丁度いい。
空を見上げれば、白い雲、眩しい太陽に、青く高い空。……そして空飛ぶ少女。
「女の子!?」
「……フェル」
ジュラが女の子を見て呟く。
フェル? それがあの子の名前か?
さりげなくジュラが俺の後ろに隠れたが、そこは触れないでおこう。
そうこうしている内に、こちらに気がついたのか、フェルと呼ばれた少女が降りてきた。背中からは、翼竜のような羽。
あっという間に、羽は折り畳まれるように消えた。
「おや、ジュラじゃないか。ルモと一緒じゃないなんて珍しい。ん? ところでそっちの彼は?」
ジュラは無言であちらを伺っている。
ジュラは簡単に言えば、超人見知りってことは、ルモさんから聞いている。
まあ、恐らく知り合いであろう人に、ここまで警戒心バリバリだとは思わなかったけど。
「俺は芹沢由人と言います。つい先日、この大怪獣町に引っ越しました。えーと、あなたは……」
「ああ、自己紹介が遅れたね。あたしはフェル。この町でのんびりと過ごさせてもらっているうちの一人。ジュラのお姉ちゃんには、お世話になってたんだよ」
笑いながら、フェルと名乗った少女は握手を求めてきた。
ここで断る理由もないので、握手しておく。
見た感じ、十七、八歳くらい。
ポニーテールに結ってある、赤みの強い茶色の髪。大きな瞳は明るい黄色。
全体的に、活発そうな印象だった。
「よろしくねー、芹沢君。ああ、楽に話していいよ。わざわざ敬語使われるのも、なんかくすぐったいから」
「ああ、それじゃあ……よろしく、フェル」
「うんうん、よろしく。そうだ、芹沢君は、お昼ご飯はまだだろう? うちで食べてってみないかい? ジュラは時々ルモと来てたよね」
「お店?」
「レストランをやってるんだよ。芹沢君はこの町に来たばっかりみたいだし、奢るよ?」
「あ、ああ、それじゃあ、お言葉に甘えて。ジュラも一緒ですけど……」
「だいじょぶだいじょぶ。まあ、見たところ、君が新しいジュラの保護者みたいだね。ルモも、この町のことで忙しいだろうし、仕方ないか」
「……熱戦食らわないよう、がんばります」
「あははっ、そうだね、その意気だ。っと、立ち話もどうかと思うし、早く店にいこうか。あたしも早く行かなきゃ怒られる」
「なら急がないとな」
「……ご飯」
お互い笑いあい、フェルのレストランに向かった。
……
十分くらい歩き、件のレストランに着いた。
落ち着いた内装に、少し押さえた採光が合わさって、なかなか居心地が良さそうだ。
「フェルちゃん、遅いですよ」
涼やかな声とともに、店の奥――厨房から、一人、女の人が出てきた。
「バルハ姉、ゴメン! いや~、お客さんと話してたら結構時間たっててさ」
「あんまり遅刻が多いと、お給料が減っちゃうよ?」
「ひーっ! それだけは勘弁! お小遣いないと、あたし今月生きてけないんだから!」
「ほらほら、お小遣いのため、早く働いてください」
「うあーっ! ごめんよ芹沢君。あたしはしばらく相手できなさそうだ」
「あー、うん。まあ、仕事がんばれ」
因みに、この町で生きてく上で、衣食住は国が面倒見てくれているが、それも最低限であり、娯楽に至っては皆無のため、自力でお金を稼ぐしかない。
まあ、殆どの店が個人の趣味でやってるらしいので、その上で人――もとい怪獣を雇い、それである程度の利益をだし、そこから資金を得て、国を間にはさんで欲しいものを注文しているらしい。
ネットやらテレビやらは、全員で嘆願書を出して設置してもらったようで、そういう大規模な要望は国に直々に依頼するしかないそうだ。
前に俺がいった、国に頼りきる云々以前に、うまい飯食いたきゃ働け状態らしい。
因みに、食材なんかも大怪獣町の面子で仕入れてるらしい。
と言うか、その人に会いに行くところだったんだけどな。
ぼんやりとそんなことを考えてると、厨房から出てきた女の人がこっちに来た。
見た目は十七、八歳くらいに見える。
長い、薄めの青い髪に一房だけ、目が覚めるような紅の髪。
赤い瞳と、輪とした顔立ちが映える。
静かで、でも同時に鮮烈な美しさ、とでも言えばいいのか。
「初めまして、ですよね? あんまり、はじめてという気が、わたしはしないんですけど」
「ええ、初めまして、芹沢由人といいます。つい先日、この町に引っ越しました」
「……そうですか。あなたが……」
「俺のことをご存知で?」
「……いえ、ルモさんから話はうかがっていましたので。わたしはバルハと申し上げます。よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
少し、バルハさんの口調に含みがあった。
俺のなにかが彼女に引っ掛かったんだろうけど。
後で話でも聞くか。
……
ジュリ。
少女型巨大怪獣唯一の死亡個体。
ディストラクション計画の披検体にされ、実験後、死亡が確認された。
尚、ディストラクション計画は、後の大規模事故により、無期限の延期――事実上凍結された。
ジュリの死骸は、後の機械細胞実用化計画にも利用されている。
この話から、徐々に主人公の正体が明らかになっていきます。
まあ、最後の方の部分は、わかる人にはこれ以上ないフラグなんですけど。
ヒントは、ジュラの元ネタと、ジュリはジュラと同種族ということです。
後は、設定の参考が、VSデストロイアと、×メカゴジラってとこですかね。
注、作者はにわかです。あんまり期待しないでください。
また、元ネタはある程度参考にしていますが、ストーリー上、いろいろ弄ってあります。




