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番外編SS『彼らがなかなか結婚出来なかった理由』

お待たせ致しましたー






 *・*・*












 カイルキア様と婚約して……二年が過ぎた。


 お付き合いについても……その、すごく順調で。お兄さん達の結婚式が無事に終わったのが最近。


 だから、次は私達の番だと……とある日に、カイルキア様からお話があった。



「結婚式……ですか?」


「ああ。マックスやフィーガスも済んだ……とくれば、そろそろ俺達も……と思ったが」



 交際して……まだ二年だけど、『もう』二年だ。


 交際イコール、結婚になってもおかしくないこの世界での恋愛事情だったが……カイルキア様は待ってくださっていたのだ。


 親しい方々……特に、私の兄でありセルディアス王国の国王になる予定でいる、シュライゼン王太子の婚礼が済むまでは。


 色々制約があったので、お兄さんとシャルロッテさんの結婚式は……本当につい先日終わったばかりだから。


 私のその日仕事がひと段落ついたところで……カイルキア様から呼ばれて、ふたりで執務室でお話することになった。




「えっと……その」


「正直に言って、構わない。まだお前の役目はこれからの部分もある」



 そう。


 パンのレシピの浸透については……まだまだ始まったばかりだ。お師匠様やフレイズ様を中心に、お弟子さん達にも指導している最中……。まだまだ、満足のいく出来ではない。


 それでも、とりあえずコンビニパンくらいの味までは到達出来るようになった。


 だから、私のお屋敷での生活も……ここで厄介になる時とあまり変わらないでいる。今も、ドレスでなくコックスーツのままだ。


 でも。



「その……カイル様と一緒になれるのは、嬉しいんです」


「ああ。俺もお前だけだ」


「だから……その。結婚が嫌なわけがありません」


「…………皆を思うお前の気持ちも最もだ。だからこそ……お前が俺ものだと、さらに実感したい」



 カイルキア様は、本当に私を大事にしてくれている。


 ひとりの女としても、部下としても、従姉妹としても。


 その気持ちに応えたい。お互いが離ればなれになるような事態がないとは……言い切れないから。


 強固派はほぼ断絶出来ても、お兄さん達の結婚式前に……お城でちょっとした事件があった。お兄さんを殺そうと言う馬鹿な人とかが。あれ以来はそう言う事件がなくても……私にも被害が出るかもしれない。


 奇跡を起こした王女。


 お母さんを復活させた私の……ちょっと恥ずかしいあだ名が広まっているせいで、私を女王にしようと言う動きもあったからだ。カイルキア様と一緒になれない道は選びたくないので、私は事実上の継承権はお父さんに頼んで破棄している。


 しかし……万が一を考えて、私の将来の子供達には残すことは約束された。


 だけど。



「その……結婚しても、しばらくは今の生活通りでいいですか?」


「……そうだな。子が出来るまでは、今のままがいいだろう」



 それでも、私の役割はパン職人だから。


 世界中の人達に、美味しいパンを広めたい。


 ホムラでは、おまんじゅうの改革はうまくいっているのでいつかは全世界に広まるだろう。


 私も努力は惜しまない。



「……では、お受けさせてください」


「……互いに幸せになろう」


「はい」



 ふたりだけだが、誓いのキスのように唇を重ねて……約束をするのだった。


 それから数日後に、まさかお腹に新しい生命が宿っているのをロティに聞いて、結婚式を早めるのは大変だったが。


約四年、本当に応援ありがとうございました!!


他の連載もよろしくお願いします!!

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