194-1.明太子を仕込もう
お待たせ致しましたー
*・*・*
エコールさんが来たのは、ユリアさんが帰られてから二日後だった。
海からどれだけ離れているかは知らないんだけど……多分、早いんだと思う。
エコールさん、息切れていたし……エスメラルダさんが早く来いって催促したのが簡単に想像出来た。
「お、お待ちしていました」
「……やあ。じゃなくて、えーと」
エコールさんは息を整えてから、少しかしこまった。私が王女だと言うのは国中に知らせてあるから……エコールさんが言い直すのも無理はない。けど、私はかしこまってほしくなかった。
「いいですよ? 前のままで」
「え? けど……」
「たしかには王女は王女ですけど。私は私です」
「……エスティ姉達も??」
「はい。他の人達も」
「そう言うことさね?」
いつ来たのか、エスメラルダさんが私の頭を軽く撫でてくださった。
「…………そう、なんだ?」
まだ少し驚いてから……すぐに、苦笑いになってくれた。なので、私も笑顔を返した。
「さ? チャロナご要望のタラの卵を頼むよ??」
「……本当にあれ使うの?? 塩漬けじゃ心配だったから、ちょっと凍らせてきたけど」
「ありがとうございます!! 手間がひとつ省けました!!」
「……そうなの??」
明太子作りをするにはまず、寄生虫を死滅させるのに丸一日以上凍らせておかなくちゃいけない。しかも、塩漬けしてあるなら尚よし。
どんなのか見せてもらうのに、箱をエコールさんに運んでいただくと……中身は塩漬けされたピンクのタラコがあった。検索に少し載っていたグレーの皮とかはなかった。
「これで美味しい明太子が作れます!!」
「……どう言う料理なのかい??」
「料理の手前の食材です!!」
「食材……?」
「ただ、ここから仕込むのに一週間かかります」
「……すぐに食べれないのぉ」
「すみません……」
実際は時間短縮を使うけど、エコールさんに異能とかは打ち明けられない。けど、逆にこちらから送ることは出来るので、昨日作ったガーリックフランスをいくらか召し上がってもらってから彼は帰って行った。
「チャロナくん。調味料は出来たんだが……」
朝から仕込んでいた、明太子に重要な唐辛子系の調味料が完了となっていた。
「じゃあ、これに……塩漬けして凍らせたタラコの塩を洗い流します」
「このままじゃ塩辛いだけだからかい??」
「あと、中にいた悪い虫を出来るだけ洗い流すためです」
「「虫??」」
エスメラルダさんも興味があるからと……タラコの塩を洗い流すのを手伝ってくださった。そのあと、銀製器具から銀のポリバケツみたいなのにタラコを並べ、重ねていき……上から大量の調味料を注いでいく。
あとは、これを一週間寝かすだけ。
「うーん……冬も近いし、時間短縮なしで仕込んでみるのも」
なので、ポリバケツは出来るだけ冷暗所で保管することになりました。
次回はまた明日〜




