193-2.強烈ガーリックフランス②
お待たせ致しましたー
「なんて……なんて、素敵な匂いなのおおおおおお!!」
悠花さんが体を乗り出すくらいにカウンターにかじりついていた。
ちょっと……いや、だいぶ怖い。
三馬鹿トリオを押し退ける勢いだったんだもの?
「チーちゃん、ニンニクで何作ってんのぉお!?」
「…………ガーリックフランス」
「ジャスティス!!」
やっぱり、ニンニクは魔性の食べ物だからね??
悠花さんもだけど、サイラ君達まで蕩けた表情になっているんだもの。
「チャロナ〜? ガーリックフランスって何〜??」
「なんなぁん??」
「俺も知りたい〜」
とにかく、匂いに魅了されちゃっているから、三人ともふにゃふにゃだ。
「前にちょっと固いパン出したでしょ??」
「「「うん」」」
「それにニンニクとかを混ぜたバター塗って……炙るとこんな匂いがするの」
「「「美味そう〜〜!!」」」
「メインとかは別だけど、もう出来るから」
「「「お〜〜!!」」」
「待ってるわん!!」
と言う事で、悠花さん達は退散してくれて……入れ替わりに、エスメラルダさんが戻ってきた。
「とっておきの酒持ってきたよ!!」
ドン!? と音を立ててカウンターに置いた酒瓶は……ラム酒の時以上に大きく、絶対これスピリッツ系のものだろうと思われる感じだった。
「……これですか??」
「ああ! この匂いにふさわしい相手だと思うよ??」
「…………エスメラルダさんだけで飲むんですか??」
「まさか! あんたも欲しきゃ、分けてあげるさ」
「…………ひと口だけなら」
元二十代。今は十七だけど。
成人しているし……良いよね??
実は、式典の時のカクテルっぽいお酒もだけど……私はあんまりお酒を口にしたことがない。
マシュラン達と一緒にいた時も……どう言うわけかやめておけとか言われていた。
もしかして……私、下戸なのかな??
先に飲んでいると言ったエスメラルダさんを見送った後……ちょうどガーリックフランスが完成して。
ロティのオーブンの蓋を開ければ、さらに強烈なガーリックバターの香りが厨房に広がっていったわ。
『…………やばいでやんすぅ』
「…………すごいな」
「これは……」
『でっふでふぅ!!』
「…………ここまでとは」
これは……カイルキア様もだけど、お屋敷中の皆さんを虜にしてしまうかもしれない。
味見をすれば、PTもかなり入ってきて……提供する頃になれば、男女問わずに食堂の絨毯の上で皆さんふにゃふにゃになっていた。
「……消臭のためにりんご用意しましょう」
「「りんご??」」
「生のりんごには、臭いを軽減する効果があるので」
『ほー??』
来客はお兄さんくらいだけど、やっぱりエチケットはしっかりしなくちゃ。
次回はまた明日〜




