192-1.娘のために(アクシア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(アクシア視点)
チャロナとカイルキアの……婚約パーティーの日取りが決まった。
魔法鳥で、今朝方知らせがあり……私やシュラは喜んだけれど、夫でありチャロナの父でもある陛下は。
「くぅううううう!? とうとうこの日がぁああああああ!!」
とりあえず認めたとは言えど、まだまだお心では悔しいようだわ。少し笑ってしまったが、通達の紙を握られていらっしゃるアインズ様の表情がころころ変わるんだもの。
ちょっと……いや、だいぶ可愛いわ。
「父上〜? 婚約しても、結婚はだいたい一年後なんだからまだまだだぞ??」
私が亡き者であった頃に、既に婚約していたシュライゼンの方が……婚姻を結ぶのだから、チャロナは早い。復活を成してから顔を合わせたが、クリームのように愛らしく優しい雰囲気の女性。
私の記憶の中では、もっと砂糖菓子のように甘い雰囲気をしていたシャルロッテだったけど……随分と美しくなったわ。
それはさておき、アインズ様は泣き腫らす勢いで号泣されていらっしゃる。チャロナについては、本当に親馬鹿な部分がよく見られるわ。
「……わかってはいる!! わかっているんだが……!! 結婚したら、なおのことこの城への帰還がないではないか!!?」
王家の女性が下賜あるいは、降嫁した場合。
実家である城への帰還は許されないわけではないが、体裁上、あまりよろしくないように思われるのだ。私の場合も、先日久しぶりに会えたが……実家である侯爵家にはあまり戻れない。
ただ、チャロナとしては保護されたカイルキアの屋敷にいることが普通なので……こちらに来る方が気後れしてしまうだろう。
お母さんとしては……私もちょっと寂しいけどね?
「そうかもだけど……選んだのはチャロナだろう??」
「……くぅ。なら!! 婚約パーティーに相応しいドレスなどはこちらが用意する!! すぐに魔法鳥を!!」
「はいはい」
この勢い……アインズ様ったら、いつものぬいぐるみなどではなく。ご自身でドレスまで縫い上げてしまうのかしら?? 流石に採寸などは女官達の仕事ではあるけれど……可能と言えば可能ですもの。この方は。
その後、私にも布選びから参加して欲しいと言われ……山のような布の束から愛娘にと着てもらうドレスの布を選ぶことになったわ。
「これは……いいや、これも」
娘のために、真剣な表情で選んでいく夫を見ると……長い間、淋しい思いをさせてきたのに今が楽しそうで何よりだった。
だから、私も出来なかったことをあの子が叶えてくれたのだから……十数年ぶりに、アインズ様と布選びを真剣に頑張ったわ。
次回はまた明日〜




