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190-1.仲が戻る?

お待たせ致しましたー






 *・*・*










 お菓子教室の片付けも終わった後。


 私は、カイルキア様に拾っていただいた経緯などを……マシュラン達に話すことにした。前世の記憶が戻ったことや、異能(ギフト)などは伏せて。


 信じられないだろうし、信じてももらえないだろうから。



「……僕達と別れた後に、崖から??」



 だいたい話終えたら、マシュランもだけどメンバーの皆も顔が青ざめていったわ。



「た、大した怪我はなかったよ?? けど、保護してくださったのが」


「……ローザリオン公爵、様が?」


「うん」



 カイルキア様に拾っていただかなければ……今ここにもいない。


 マシュラン達と離れなかったら、千里(前世)も思い出せず……何も役立つことが出来なかった。


 ただのチャロナとしても、王女としても。


 そんな意味合いを込めて、にっこり笑えば……マシュランは苦笑いしてくれた。



「そうか。……僕が君にしたことは許されないことだけど、今は幸せなんだね?」


「うん」



 友達も……将来の旦那様とも。


 出会えることが出来なかった。


 いくら、フィルドさん達が誘導したとは言え……マシュランの口から戦力外と通告されたことに変わりない。けど、あれがなければいけなかった。


 優遇された中で、公爵家に保護されたら……今のように意気込んでパン作りをすることもなかった。ぬるま湯に浸かるように、王女として生活していただろう。


 しかし、チャロナ(前のまま)だったら、私は戸惑っていたはず。望まない生活をさせてもらっても、申し訳なく感じただろう。ただの孤児だったから。



「……チャロナ、幸せか?」



 ずっとだんまりだった、メルクキスが口を開けた。その表情は、マシュランに似て苦笑いだったわ。



「……うん。今は幸せだよ?」



 その表情を見て、以前だったら気がつかなかったが……私に少なからず、想いを抱いていたのがわかった。けど、私はそれに応えられない。



「……そうか」



 だからか、彼も私の本心を見抜いてくれたようで、笑ってくれた。



「……僕達も頑張るよ」



 話が終わってから、マシュランがそう切り出した。


 マシュランの故郷が実はセルディアスだけど、これまで通り冒険者稼業を続けていくみたい。



「うん。頑張ってね?」


「チャロナも」


「うん」



 まだ孤児院には数日いるようで……なら、と私は後日……彼らと孤児院の子供達宛てに、たくさんのパンを送ったのだった。


 通達で知ったけれど、マシュラン達も子供達もとても喜んでくれたみたい。言伝に、子供達から『王女様ありがとうございました!!』と返事が来た。


 マシュラン達からは……ラトとミッシュが付き合い出したことと……通達が来る前の日に、身籠った事実を知って作業中だったからひっくり返りそうになった。

次回はまた明日〜

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