189-3.変わらぬことはない(マシュラン視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(マシュラン視点)
僕は……許されないことした。
なのに、どうして……?
チャロナは……身分が戻っても、数ヶ月前とは言え。僕らを変わらず受け入れてくださるのだろうか?
シミットは我慢し切れずに、殿下に抱きつきに行き。彼女の涙声につられて、僕らも涙を流してしまう。
殿下は涙を流さなかったが、ずっと笑顔で。
ああ……本当に、変わっているようで変わったのだ……と、理解出来た。それに先ほどの言葉。
(……公爵夫人……)
政略なのかはわからないが、殿下は公爵家に嫁ぐことになってしまったようだ。だが、それを嫌だとは思っていない。と言うことは……望んでその未来を選んだのか。
不躾な質問だが、今聞いていいことではない。
「まーったく、ガキじゃねーんだから。そんな顔で泣くなよ?」
王太子殿下の後ろから、誰かが声をかけてきた。
短い銀髪で、赤い瞳。メルクキス以上のかなり良い体つき……。僕は、まさか!? と声を上げそうになってしまった。
「無理ないよ、マックスさん?」
「そうは言うけどよー?」
殿下は親しげに会話されているけど!?
(な、ななな、なんで!!?)
何故、SS級冒険者で超有名な憧れの『マックス=ユーシェンシー』さんと殿下が親しいんだ!!?
それに、何故彼がこの場にいるんだ!!?
「え……?」
「あの人……マックス=ユーシェンシー??」
「な、何故?」
他のメンバーも思わず声を上げるくらい。
ここ数ヶ月の間だけで、王女殿下の周囲が大きく変わったとは言え……これは予想外過ぎた!?
「あ? 俺見て、どーした??」
「……マックスさん。自分が有名人なの忘れてる」
「……あー? まあ、そうか?」
「うっかりし過ぎなんだぞ、マックス」
ぽりぽりと、マックスさんが髪をかくと……何故かとてもいい笑顔になった。
「マックス=ユーシェンシーだ。王女殿下と俺は……ま、いわゆる普通以上のダチだ」
『『『『『『は??』』』』』』
「色々あってな? この子にも色々で世話にもなった」
「お互い様だよー?」
「な?」
伝説級の冒険者と普通以上の友達。
公爵様との婚約? に王家への帰還もだが……殿下の周囲が変わり過ぎて、今が幸せなのは嬉しいことでも。
変わり過ぎて、僕らの頭が情報を詰め込まれて……頭痛が起きそうになった。
とりあえず、ひとつ言えたことは。
メルクキスは……完全に失恋をしてしまったこと。
殿下が公爵様のことを口にされた時、隠そうとしてても辛い感情が伝わってきたのだから。
「さ! 子供達も待っているんだぞ!! 君達にも、我が妹のパンを食べてほしい!!」
それから、王太子殿下が提案をしてくださり……子供達が絶賛していた、王女殿下手製のパンをいただくことになった。
そう。僕らと共にいた後に、一番変わったところだ。
次回はまた明日〜




