189-2.再会
お待たせ致しましたー
子供達と鬼ごっこをしていた相手は……リーダーのマシュランだった。
「「…………」」
なんとも気まずい空気が流れた。
私もだが、マシュランも言葉を紡げないでいた。
無理もない。
私もだが、マシュランはあんな形で私を脱退させたのだ。たとえそれがフィルドさん達の計画であったとしても……マシュランが実行したことに変わりない。
だから、どんな言葉をかけていいのかわからなかった。
「あ! 王女様だ!!」
マシュランが追いかけていた子供……クラット君が私に気づくと手を振ってくれた。
「皆!! 王女様が来たぞー!?」
なんて言うから……子供達がわらわらとやってきて、たくさんの子達に囲まれてしまった。一緒に、メルクキスとかが来たように見えたが……少し遠くてよく見えない。
多分、顔を合わせにくいだろうけど。
「さ、皆さん。王女殿下がいらしたのですから、お行儀良くなさいね??」
『『『はーい!!』』』
マザーの声で、子供達は講堂に向かってくれたので……マシュラン達がちゃんと見えた。ほとんどうつむいているので、表情がよく見えない。
そんな感じになっていたから……私は今日まで考えていた事とかが、全部ふっ飛んだ。
「……久しぶり」
出来るだけ、明るい声で話しかけると……全員パッと顔を上げた。その表情はどれもが複雑なものばかり。
だから、私は努めて明るい笑顔になった。
「元気だった??」
「…………何故」
何故、そのように明るい笑顔でいれるのか。口を開いたのはマシュランだったけど、だいたい言いたいことはわかった。伊達に、三年近くも一緒に過ごしていたわけではない。
「…………恨む恨まないなら……マシュランに言われた直後は、恨んだけど。今は違うわ」
カイルキア様に。
悠花さんに。
ロティに。
たくさんの人達に出会えた。
カイルキア様と恋に落ちることも出来た。
そのきっかけを、今更恨むわけがない。
カイルキア様は今日はいないけれど。
「…………けど、僕は」
「あれで良かったの。私もあの後色々変われたし……今の生活が出来て嬉しいから」
「……殿下」
「チャロナでいいよ。他の皆も」
『『『『『え??』』』』
私の発言に驚いたのか、皆唖然が似合う表情になっちゃったけど。
「私はチャロナ。王女でも、将来の公爵夫人になる未来はあるけど……今までの『チャロナ』も捨てないわ」
断言すると、向こうから赤茶の綺麗な髪の女の子が駆け寄ってきた。
「チャロナ!! ごめんなさい!!」
魔法師であるシミットが、泣きながら私に抱きついてきた。私が脱退した時は、泣きそうな表情でいたのを……我慢出来なかったのか、べしょべしょになりながらも私に抱きついてきたのだ。
私は着ていたドレスが濡れても、特に気にしない。
横にいたお兄さんも『やれやれ』と肩を落としていた。
「我が妹がこう言うんだぞ。君達の所業は消えないが塗り替えることが出来た。そう思っておくんだぞ」
「「「「……は!」」」」
お兄さんが皆にそう言うと……マシュランもだが、他のメンバーまで泣いてしまい。
しばらくは、講堂に行くことが出来なかった。
次回はまた明日〜




