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188-3.公爵家へ帰る

お待たせ致しましたー






 *・*・*












 その日はお城で泊まることもなく、転移でローザリオン公爵家に帰ってきた。ドレスから普段着に着替えた後に、メイミーさんからは少しお昼寝をしなさいと言われたけれど。



「今日は厨房のお仕事もダメよ? たくさん、あちらでお仕事してきたんだから」


「……はーい」


『でふぅ……』



 なので、お夕飯まではのんびりと過ごし……本当にご飯のギリギリまで寝こけていたので、これにはまたメイミーさんが起こしに来てくれた。



「よく寝れた?」


「……はい」


『でふ!』



 お夕飯は少し寒くなってきたからと、嬉しいビーフシチューだった。エイマーさんがメインで作ったプチパンも、合格点を出していいくらい美味しく出来たていた。


 堪能したら、今度はゆっくりお風呂。エピアちゃんもだけど、ちょっとぶりにエスメラルダさんも一緒だったわ。



「いやぁ〜? チャロナ、ほんと随分立派になったねぇ??」



 ケラケラと笑われるくらい、やはりエスメラルダさんから見ても今の私の胸部は凄いんだ……。エスメラルダさんも充分ご立派ではあるけれど。



「はぅ……」


「こりゃあれだ? 旦那様も、相当気に入られたはずだねぇ?」



 実は、キスをしていた最中におっきくなっただなんて言えない。エピアちゃんは知っているけど、私の気持ちを読んだのか黙ってくれていた。



『でふ! お胸は立派がいいんでふ!!』



 ロティは自分も大きいのに、私の方が大きいからとえっへんと言いたげに胸を反らしていた。形が綺麗だから、女なのにドギマギしてしまう!



「はっは! そりゃそうだろう? んで? 婚約したんだろう?? パーティーもだが、式とかは??」


「ぱ、パーティーは近いうちに……式、はまだ」


「チャロナなら、すぐに公爵夫人になってもいいと思うけどねぇ?」


「エスメラルダさん!!」



 結婚の約束はしたけど、実際にお嫁さんになるのはまだまだ先だ。


 悠花(ゆうか)さんやエイマーさんのこともあるし……お兄さんやシャルロッテ様。それに、レクター先生とリーン様も。


 だから、いくらカイルキア様と婚約したからって……貴族の一員になる実感が湧かない。既に王族ではあっても、私の意識は前世も含めてまだまだ平民程度。


 お風呂から部屋に戻り……今日一日の出来事を振り返ったが、色々あり過ぎた。もちろん、このお屋敷に帰って来るまでも色々あり過ぎたけれど。


 明日からは、またいつものパン作りと孤児院への差し入れとかを検討しなくちゃいけない。


 早めに寝ようとしたら、誰かが扉をノックしてきた。



「カイル様!」



 尋ね人は、カイルキア様だった。



「……済まない。寝るところだったか?」


「い、いえ!」



 寝巻き姿じゃなく、シャツとズボンだけだけど……胸元のボタンが適当に外されているので、胸筋がバッチリ見える!? 


 非常に目の毒だ!! 鍛えているから、超絶セクシーで恥ずかしくて、思わず目を逸らした。



「? どうした……?」


「か、カイル様!! ボタンを!!」


「? ああ……今さっき素振りをしていたからな」


「……整えてください」


「? 大した身体ではないぞ?」


「無自覚ですか!!?」



 思わず顔を上げると、とってもいい笑顔のカイルキア様があって……今度は鼻血が出そうになってしまった。



「……これは、お前のものでもある」



 と、掠れ気味のウィスパーボイスで告げてから……軽く何度か、固まっている私にキスをしてきた。びっくりして、手で口元を覆うと……カイルキア様はさらに笑った。



「顔を見にきただけだ。ゆっくり休め」



 帰る前に、もう一度キスしてぎゅっと抱きしめてから行ってしまった。


 私は今起きた出来事の理解が追いつかず、カイルキア様が見えなくなると床にへたり込んでしまった。



「ほんと……素敵」



 恨み言じゃなく、褒め言葉しか出てこない。表情が戻りつつある、私の婚約者様は素敵過ぎた。


 いつか結婚したら、これが毎日になるのかと思うと……恥ずかしくて、その場で身悶えてしまう。

次回はまた明日〜

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