187-3.成長の証(ミッシュ視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(ミッシュ視点)
シミットは大丈夫。
苦手だと思い込む癖はあるけど、理解すれば早い。
今回の依頼主であるマザーにも褒められたくらいだから。
だから、私と分担してその日の孤児院のメニューであるシチューの下ごしらえをすることになった。私はにんじん。シミットは得意になったじゃがいも。
これらをこなしている間に、孤児院の子供達もやってきて……チャロナ、姫様に習ったと言う蒸しパンっておやつを作るためらしい。
(……パーティーにいた時、そんなのなかった)
私達が追い出した後に……何かあったのだろうか?
それか、もともと隠していた??
……ううん。あの子はそこまで器用に表情を変えられる子ではなかった。
となれば、この国の公爵様に保護された中で何かあったのかもしれない。
(……それに。帰還の式典が行われたからか)
街に、買い出しに行くとどこもかしこもどんちゃん騒ぎ。王女としてチャロナが戻ったこともだけど……どう言うわけか、王妃様が復活なされたとか。どこも詳細はわからないが……マザーに一度見せていただいた王妃様の若い頃の絵姿は、チャロナにそっくり過ぎた。微妙に違うところはあるけど。
何がどうして……チャロナは危険な目に遭ったり、幸せかもしれないとかこちらは想像したりもしたが。少なくとも、幸せかもしれないと言うことはわかった。
国民が、あれだけ祝福するのだから、きっとそうに違いないと。
そう考えながら、私はナイフでにんじんの皮を剥いていく。今日のは少し柔らかいからか剥きやすい。シミットを見ても、少し前に慣れたお陰ですいすいじゃがいもの皮を剥いていた。
「お姉ちゃん、はやーい!」
黙々と剥いていたら、女の子が声をかけてきた。まだ滞在して数日も経っていないが、水色の髪の女の子には覚えがあった。
「ん、慣れ」
たしか、ケイミーと言ったような。
「私無理だなぁ。お芋とかでもガタガタだもん」
「ん。最初は仕方がない。……向こうのお姉さんも、最初はダメだった」
「そうなんだー?」
うん、と言えば……ケイミーは私に何か差し出してきた。
ふかふかに見える……パンか何か?
パンは基本的に美味しくないものとして知れ渡っている。しかし、少し湯気が見えるそれは……なんだか美味しそうに見えた。
「? これは?」
「お姉ちゃん、味見して?」
「……いいの?」
「あっちのお姉ちゃんには、ターニャが渡しに行ってるから!」
と、指を向けた方向を見ると……たしかに、別の女の子がシミットに同じものを渡そうとしていた。
なら、と私もケイミーから受け取り……不味くないか不安だったが、ひと口食べれば……それは違ったのだった。
次回はまた明日〜




