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186-3.祈りを(マックス《悠花》視点)

お待たせ致しましたー








 *・*・*(マックス《悠花(ゆうか)》視点)









 チーちゃんは目を覚ましたけれど……メンタルが戻ったわけじゃない。



(……当然よね?)



 リュシアの孤児院での時とは違う。あの時のこととは全然違うもの。死んだ直後に幽霊として、チーちゃんの前に現れた女の子とはわけが違うのだ。


 マザー・リリアンに聞いたけど、襲撃で死んでしまった姉弟はチーちゃんがここを旅立つ前に……世話をしていて懐いていた子供達だったそうね。


 その子達だけじゃなかったが、その子達を亡くした事にチーちゃんの心が傷つかないはずがないもの。


 カイルに介抱してもらって、起きたチーちゃんの顔はまだ目の辺りが腫れていたわ。だから、レクターがいない代わりにあたしがホットタオルと冷やしタオルで治したわ。



「はーい、完成〜」


「……ありがとう」



 完全に元通りとは言いにくいけど、マシはマシ。気落ちもしているから、表情も落ち込んだままだわ。でも、受け入れていないわけじゃないみたい。


 立ち上がれるようにカイルが手を貸した後、あたし達はマザーのところに行くことになった。チーちゃんがもう一度ディアナちゃん達の墓前で祈りをしたいんですって。


 健気ね……と思わずにいられない。


 着ているドレスが汚れても気にせず、しっかりと長い時間……チーちゃんはふたりの墓前で祈りを捧げていたわ。


 それが終わり、マザー・リリアンに報告ついでにとこれまでの経緯を話した後。


 そのマザー・リリアンからとんでもない事実を打ち明けられたわ。



「あの襲撃から……私を助けてくれたのは、あなたが以前いた冒険者のパーティーだったの」


「「「「!!?」」」」」



 あたしもだけど、カイルやシュラ達も驚いたなんのって。


 チーちゃんを要らない存在だと言って、チーちゃんを脱退させたパーティー。けど、実はカイザークの爺さまの計らいでそうさせた事実。その事はまだチーちゃんにはあたし達も打ち明けていなかった。


 フィルド達が記憶を封じてたもんで、忘れさせられていたからね?



「マシュラン……達が?」


「ええ。皇帝陛下の勅命で、依頼がギルドにも行っていたらしいの。そこにたまたま彼らがいたそうよ」


「そう……」



 まだたった数ヶ月とは言え、チーちゃんにはトラウマになっているとは思うわ。教えてないからだけど、彼らの真意を知らないから。


 マザーは言うのかしら?


 あたしが視線を向けると、マザーはチーちゃんの髪を優しく撫でてやった。



「安心なさい? 彼らはカイザーク卿の計らいであなたを王女に戻すために動いただけ。本心では、色々後悔していたそうよ?」


「……え?」


「けど、もっと良い言い方があったでしょうに。無理矢理脱退させただなんて酷いから、私がお説教とかをしたわ」


「……マザーが?」


「ええ。みっちりシュリ城をお掃除させてあげたわ。その後は、セルディアスに向かったそうだけど」



 さすがは、チーちゃんの育ての親ね?


 今のチーちゃんは『周 千里(チーちゃん)』の記憶と精神があっても、チーちゃんの根っこの部分が似てるわ。笑顔の感じも似ている。



「……セルディアスに?」


「ギルドへの報告だそうよ?」



 一度、シュィリンがリュシアの街中で見かけたそうだが。


 あの時は何がしたかったのかしら?


 今とどう違うのか。


 リュシアに行けばわかるでしょうけど……チーちゃんがそれを知りたいのかわからない。


 とりあえず、今はマザーの話に口をぽかんと開けてたわ。

次回はまた明日〜

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