182-2.ラム酒強烈、アップルデニッシュ
お待たせ致しましたー
*・*・*
悠花さんとエイマーさんがデート。
考えたら、ふたりが婚約してから一度もそう言うのがなかった。私よりも先に結ばれたのに、日々のパン作りが優先だったからかエイマーさんも特になにも言わなかった。
でも、長いわだかまりが取れたお陰で、悠花さんとお話する時はとっても楽しそうだ。そんなお付き合いがあっても全然不思議じゃない。……私もちょっと? 時間がかかったけれど、カイルキア様とは無事にお付き合いすることになったし……婚約パーティーについては、このお屋敷で開く予定だ。お母さん達も来てくれるみたい。
「さて。お昼ごはんの後に、おやつ作らなきゃ」
悠花さん達の分は当然残しておくけど、涼しくなってきたし……あったかいおやつがいいだろう。なら、時々作るクロワッサン生地を使って!!
『サクサクアップルデニッシュでふうううう!!』
「作るよ作るよ!!」
「私も手伝うよ?」
「シェトラスさんは仕込みがありますのに……」
「と言うよりも、是非覚えたいんだ!」
「わかりました」
普通のパイ生地じゃなくて、クロワッサン生地からだから気になったかもしれない。
まずは、季節のリンゴの皮を三人でひたすらに剥いて……クロワッサン生地に巻きやすいようにくし切りにする。
「具材はアップルパイに似てるんだね?」
「そうですね? リンゴの甘煮の作り方はだいたい一緒です」
使う調味料とかも、シナモンを除けばだいたい同じ。風味付けには、エスメラルダさんが愛飲しているラム酒をわけていただいた。
『美味い菓子になるんなら、たっぷり使っておくれ!』
と言ってくださったので、贅沢に使いますとも。
甘煮を冷却の魔法で覚ましたら、仕込んでおいたクロワッサン生地とほとんど同じデニッシュ生地を、クロワッサンのように三角に切る。
冷めた甘煮りんごを芯にして、少し大雑把に巻いていく。閉じ目を少し伸ばしてクルクルと。
これを少し、ロティの発酵器で少しだけ発酵したら……シリコンシートに載せて卵液を塗り。それをオーブンで最初は強火、次に低温でじっくりと焼いていく。
焼き上がった時に、蓋を開けたら……チーズ蒸しパンの時以上にバターの濃厚な香りが厨房に広がって行った!!
「な、なんや〜〜!!?」
「めっちゃ……!」
「いい匂いぃ!!?」
匂いにつられたのか、三馬鹿トリオまで陥落されちゃったみたい……。
「今日はクロワッサン生地を使った、アップルデニッシュだよ!!」
「アップル……りんご??」
「この匂いアップルパイみたいなん?」
「クロワッサンみたいに、芯にりんごの甘煮を入れているの。今焼き立てだし、食べる?」
「「「食べる!!」」」
もちのろん、って言いたげに、三人は同時に手を上げてくれた。
次回はまた明日〜




