179-6.再びのシーフードカレーパン(カイルキア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(カイルキア視点)
今回の弁当も、なかなかに色とりどりだった。
俺でもわかるのは、ほうれん草とトマトだが……以前に食べた『カラアゲ』と似ていて違うものがあった。何かソースに絡めてあって、別の小箱には……何かのマヨネーズに似たソースがあった。
料理が少ないと思ったら、以前俺や屋敷の皆を虜にしたカレーパンが別の弁当箱にが入っていたのだ。加えて、前とは違いシャケだけの小さめのおにぎりも。
そして、最高神から頂いた魔法具である無限に入る汁物などを入れる魔法瓶の中に……具沢山のミソシルを入れてくれていた。
肉以外にも、ニンジンに玉ねぎに……たしか、白いラディッシュだったか?? ラスティが前に育ててみたいと言ったのを、彼女がミソシルに入れたのか。どんな味がするのだろう?
「まだ秋口ですが、少し冷えますし先に味噌汁を召し上がってみてください」
「そうさせてもらおう」
彼女の言う通りに、器に入れてくれたミソシルのスープを口に入れた。以前と同じように、ヌーガスの故郷から仕入れるようにしたミソの風味がとても良い、野菜の甘みに加えてオーク肉独特の味もするが……いくらかまろやかに感じた。
馴染みがあるが、これはいったいなんなのか??
不思議に思っていると、チャロナから種明かしがあった。
「ふふ。それは豚汁って言うんですが、仕上げにバターを溶かして混ぜてあるんです」
「! バターか。まろやかに仕上がっているな??」
「お好きで良かったです。日本だと、少し辛味を加えることもあるんですが……材料もないですし、カイル様はお好きじゃないですもんね? 辛いの」
「……フィーガスのせいだがな。お前のは調整してあるから、カレーパンとかは好きだ」
「ふふ。今日はシーフードカレーパンにしました」
「!?」
本当に、この女性は。
俺の胃袋を掴んで離さない。
母親である伯母上もだが……本当に、俺の心の尖った部分を溶かすのが上手い。すぐに、カレーパンが欲しいと頼むと、手が汚れにくいように紙に包んでくれてから渡してきた。
揚げたてではないはずなのに、彼女の収納棚に入れていたせいかいくらか温もりを感じる。迷わず口に入れれば、サクッと言う音の後に、とろっとカレーの部分が出てきた。
(相変わらず……このパンは美味い!!)
辛いのが苦手である俺に合わせて、辛味はほとんど感じない。のに、旨味も適度な辛味も感じる。そして、他に具材として入っているエビや貝や、イカ。
海に訪れた機会は、冒険者だった頃然程多くはなかったが……マックスが露店のイカ焼きに飛びついていくのを思い出した。
それをチャロナにも話せば、『海……』と言葉をこぼした。
「冒険者だった時もほとんどなかったですし、ホムラは内陸部だったので……全然」
「…………行きたいか??」
「え、いいんですか?」
「行く人数は限られるが……いや、二人で行くと王家のプライベートビーチを借りる手も」
「!! 行きたいです!!」
「! そうか……」
この女性を喜ばせることが出来るのならば、俺はなんだってしたい。
自然と口元が緩むと、顔にきちんと出ていたのか彼女を赤面にさせてしまったが。
とりあえず、次の『チキンナンバン』と言うカラアゲみたいな料理は……俺はテリヤキの次かそれ以上に好きな肉料理となった。
次回は日曜日〜




