179-4.恋人としてのデート③
お待たせ致しましたー
*・*・*
満足が行くくらい、栗を拾いに拾いまくって……せっかくだから、と、ローザリオン公爵家定番となっていた焼き栗をすることに。
まずは、カイルキア様と二人で栗に切り込みを入れるところから。私は手慣れていて当然だが、カイルキア様も手際が良かった。鬼皮に十字に切り込みを入れるのが結構早い!
「冒険者の間も、時々こうして作っていたりしたからな?」
その横顔は穏やかなものだった。
カイルキアや悠花さん達が冒険者になったのは、カイザークさんに亡命させられた『私』を秘密裏に探すためだって聞いたけど。
結局、私はフィルドさん達の計画通りに、あのパーティーから抜けさせられた後に……カイルキア様に見つけていただいた。
私が簡単に幸せになったら、この世界を蝕んでいた【枯渇の悪食】を消滅するための要素が集められなかったからだと。でも、それが完了して今があるのだ。
きちんと、カイルキア様と一緒になれたんだから、そこを今更恨んでも仕方がない。
「私も冒険者だった時は、焼き栗はあまりしなかったですね? 木苺とか、苔桃をジャムにして翌日のパンに塗って……それまでの美味しくないパンに塗って食べていました」
「……彼らを恨んでいるか??」
「最初の頃は少し……。けど、前世の記憶も戻って、色々振り返えることが出来て。彼らの泣きそうな表情を思い出したら……なんか、恨んでも意味ないなって思えたんです」
それまで過ごしてきた生活は、決して褒められたことではないが。それでも、私に出来る事だからと、あの頃の自分には言い聞かせていた。今は、前世の記憶と意思を融合した状態だから、また考え方が変わったが。
それをきちんとカイルキア様に告げると、彼はナイフを地面に置いてから頭を撫でられた。
「無理はしていないか?」
「? いいえ??」
「……そうか。屋敷に来た時に比べると、随分強くなった」
「! 皆さんが……カイル様が一緒にいてくださっているからです!」
「……そうか」
そして、カイルキア様は。
二人きりだからと、遠慮なく私に顔を近づけてキスしてくださいました。
感情のリミッターが外れると、この人は私に触れたくて仕方ないのかな〜なんて、意識を少し逸らしながらもキスを受けていました。
だって、そうしないと腰砕けになっちゃうからぁあああああ!!?
満足するまでされてからは、再び焼き栗の仕込みをして……火魔法の焚き火の上で、私が銀製器具から鉄製のフライパンを出してから焼いていく。
じっくり焼かなきゃいけないので、時間短縮を使おうとも思ったが、やめた。
今日はのんびりと、カイルキア様と過ごしたいから。
次回は月曜日〜




