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176-3.冒険者ギルドでも②(アレスタ視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(アレスタ視点)








 若い連中だが、揃いも揃って不安の表情をしていた。



(まあ、無理ねぇなあ?)



 おそらくだが、セルディアスにやって来たことで王女殿下の成した事を耳にしたはず。国中が騒いでいるからなあ?


 ホムラで、王女殿下の育ての親であるマザーからの手紙に、こいつらが王女殿下のこれまでの経緯を聞かせたとあった。


 生い立ちもだが、先日の発表になるまでの事も。


 だから、俺が今から言う内容について……結構不安になっているだろうなあ?


 宰相閣下が関わっていたとは言え、王女殿下を脱退させる手順がいけねぇ……。



「……まず、ホムラ皇国で成したお前らの褒賞についてだが」



 形式らしく、俺は持って来ていた書簡のひとつをマシュランに見せるように広げた。


 中身が見えた途端、不安げだったどいつもこいつも……マシュランまでアゴをあんぐりしやがった。



「……あなた方のランクを全体的に一ランク上げます。これは、ホムラ皇国の皇帝陛下からの褒賞も加味したからです」


「し、しかし、副ギルマス!?」



 ラージャが俺のあとに発言をした時に、マシュランが言葉を被せた。相当慌てているが、ラージャは涼しい顔で首を横に振っただけ。



「腑に落ちない部分はおありでしょうが……あなた方はこの国にとっても重要人物を救出。ならびに、その方からの指導も受けた。これは当然の報酬です」


「…………けれど。僕は」



 素直に報酬を受け取れねーあたり、成長したんだろうなあ?


 まだ20歳前後なのに、いい男になった。


 他の連中もだが、素直に喜べねー顔していやがる。



「……たしかに。俺にも報告が来てる、王女殿下の脱退方法は褒められたことじゃねぇ。まあ、使者が宰相閣下で……あと、噛んでた存在が色々あった。それを今更お前達に負担を強いるのは……俺ら冒険者ギルドはともかく、王女殿下はどう思われているかわかんねーだろ?」


「…………恨まれているはずです」



 だったら、するな!? と言いてぇが……それがなければ今もない。


 俺は王女殿下にはあの糞子爵の件で遠目に見た程度だが……したたかな女性だと思っている。マックスが言うには正常じゃなかったらしいが……多分、恨んではいねーはず。


 確証はないが、きちんと元の身分に戻られたんだから……今は幸せだからと言う勝手な想像だ。



「それはお前らが直に確かめに行けばいいだろ?」


「「「「「「……は?」」」」」」



 俺の提案に、予想通りにマシュラン達は間抜けた声を出した。



「お前らは知らねーだろうが。王女殿下は今、定期的にこの街の中央孤児院に差し入れだったり、料理教室をされているんだ。それこそ、ご自分が王女だと知る前から。……孤児院の手伝い程度のクエストならいくらでもある。お前らの口から、謝罪してーんならそれを受けながらリュシアに滞在しろ」


「……殿下、が?」


「色々あってな?……あの方の料理がとんでもなく美味い事がわかった。中央孤児院は王家が援助しているとこだ。……きっかけには良いと思うが??」



「「「「「「……………………」」」」」」



 マシュラン達はしばらく黙っていたが。


 その後に、互いに頷き合い、マシュランが俺に向かって腰を折った。



「受けさせてください」


「わかった。ガキが多いとこだから体力勝負だぜ?」


「……はい」



 とりあえず、王女殿下に知らせるかどうかは……一度マックスに知らせてからにすることにした。

次回は月曜日〜

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