174-1.現状
お待たせ致しましたー
*・*・*
お屋敷に戻ってきて、一日目。
たとえ、王女になろうとカイルキア様の婚約者になろうとも。
私が戻ってきてからも、成すべきことは同じ。パン作りをすることだ。
「おはようございます!!」
『はにょーございましゅ!!』
厨房に行けば、シェトラスさんやエイマーさん。レイ君もいたので朝の挨拶をした。
「「おはよう」」
『おはようでやんす!』
『れーいー!』
『わっぷ!?』
んでもって、ロティは愛しのレイ君に朝からハグをお見舞いするのだった。包丁とか持っていなかったから出来たんだろけど。改めて見ると、大人バージョンのサイズ感もあって美男美女カップルになっているわ。
私も……カイルキア様とそうなのかな?
そうだとしたら……嬉しい。
「チャロナちゃん、私達は嬉しいんだが……本当に今まで通りでいいのかい?」
「はい」
シェトラスさんに聞かれたので、私は頷いた。王女の生活よりも、こちらでパン作りをしていた方がずっと良い。
お城でフレイズ様達にお教えするのも良いかもしれないが……私としてはこのお屋敷で過ごしたかった。パン作りはもっともっとゆっくりやりたかったのもある。
お城にはお父さんやお母さんがいるとわかっても……私はこっちに居たい。カイルキア様や皆さんがいらっしゃるから。
私の意見を言うと、シェトラスさんもだがエイマーさんも頷いてくださった。
「なら、これまで通り頼むよ?」
「改めて、頼むよ。チャロナくん!」
『でやんす!』
「はい!」
とりあえず、一番の目標はホムラ皇国でおまんじゅう作りの指導からだ。
ただ、それを思い出したのが昼過ぎで……私はカイルキア様にマザー・リリアンにはまだ会いに行けないか聞きに行くことにした。
「その件だがな……チャロナ」
お昼ご飯の後に、カイルキア様の執務室に行くと……彼は歯切れが悪い感じになられた。
「はい……?」
「……今だから言えるが。あちらの孤児院に襲撃事件があった」
「え゛!?」
『でふ!?』
「だが、マザーは無事だ。その襲撃の理由がお前の弱点になるだろうと……マザーを誘拐したが、それは失敗に終わった。しかし……死傷者は何人か出たらしい」
「……そんな」
私のせい? と絨毯の上にへたり込むと、それは違うとカイルキア様がすぐに駆け寄ってきてくださった。
「違う。お前のせいじゃない。馬鹿な強固派の奴らだと陛下もおっしゃっていた」
「けど……死んだ人が出たんですよね?」
「…………おそらくだが、葬儀などは終わっている。伯母上のように復活は出来なくもないだろうが、神らは拒否されるだろう」
「……はい」
お母さんはただ死んだだけでなく、この世界の要になっていた。だから、フィルドさん達が私を導いて……お母さんを甦らせてくださった。あれは、もう二度と出来ないはず。
「孤児院の再建はまだどうなっているかはわからないが……マザーはシュリ城にいるとの情報はあった。……会いに行くか??」
「! はい!!」
ちょうど……と言ってよくないタイミングではあっても。
育ての親であるマザーと会えることは、正直言って嬉しい。今の私のこともきちんと伝えたいから。
次回は日曜日〜




