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169-3.お屋敷へ①

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 お師匠様達に、お願いすることもされたことについても色々確認が取れたので……私はこのお城ではなく、カイルキア様お屋敷に帰ることになった。


『帰る』って言葉が適切ではないかもしれないけど。でも、あのお屋敷で数ヶ月過ごしてきた時間は大切だ。


 今は、お母さんを生き返らせて、王女だと判明しても……こんな大きなお城で暮らすのは、まだ気後れしてしまう。もちろん、私を王女だと知っていた上で気さくに接してくれたお屋敷の皆さんにもきちんと言いたい。


 だから、一度は戻りたかったのだ。



「チャロナだけでも出来るかもしれないが、まだ俺の補助があった方がいいと思うだぞ! 俺も皆に言いたいことがあるから、一緒に行くんだぞ!!」



 と言うわけで、お城に来た時と同じように、お兄さんの転移魔法でお屋敷に戻ることになったのだ。


 場所は、目立つのを避けて行きと同じく、控室に使った部屋で。メンバーも行きと同じ人数。他の方々は既に馬車などで帰られています。



「いつでも帰ってきていいんだからな!?」


「ふふ。アインズ様、そのように泣かずとも」



 違うのは、お父さんとお母さんが見送りに来てくれた事。カイザークさんもちょっと涙ぐんでいたけれど。



「お父さん、お母さん! 私頑張るね!」


「ええ。ホムラへ行く前は一度来てちょうだいな? 衣裳は揃えておくけれど、試着はしなくては」


「うん!」



 ホムラへ行く日程についてはお父さんが決めることだから、私はそれまでにおまんじゅうのおさらいをしておく事。肉まんも作るので、餡のアレンジも考えておく事。


 そして何より、王女として派遣員になるのだからマナーの再特訓も。


 あのお屋敷で受け入れられればだけれど。



「しゅっぱーつ!」



 お兄さんに掛け声で、魔法が発動して。


 泣いているお父さん達の顔があっという間に私の視界から消えてしまい……瞬間移動した直後、到着したのはお屋敷の玄関前だった。



(……帰って……来た)




 たった一日の事なのに、色々あり過ぎた。


 実は王女だとか。


 実は、この世界の重要な導きをしたとか。


 それらが解決した今、王女としてこのお屋敷にいていいのか。不安に思う事は多いけど、玄関に入る前に誰かに頭を軽く撫でられた。


 温かい手の主は、カイルキア様だった。



「……行くぞ」


「……はい」



 この人との問題もあるけど、それは今考えるべきじゃない。


 悠花(ゆうか)さんが先に扉を開けると、何かが雪崩れ落ちてきたのだった。



「……なーにしてんの??」


「「「あはは……」」」



 出てきたのは、通称三馬鹿とも言われるようになってきた、シャミー君にピデット君とサイラ君。トーテムポールのように、重なって倒れたのだ。



「わーるぃねえ? いつ帰って来んのか、気が気じゃなかったんだよ」


「致し方ない。私達のパンでは、まだまだ物足りないからね?」



 エスメラルダさんに、エイマーさんも。


 皆さん、待っててくださった……?



「!? チャロナ……ちゃ」



 それに、エピアちゃんもいた。やっぱり、私が王女だとわかってたみたい。呼び方について困っているように見えた。


 けど、でも。



「……………………ただいま、戻りました」



 今はこう伝えたい。


 拒否されていない事がわかった今は。



「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」



 歓迎の言葉をもらえたので、ヒールを忘れてた私は……エピアちゃんに駆け寄ろうとしたら転けておでこにたんこぶを作ってしまった。

次回はまた明日〜

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