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165-4.戻った記憶

お待たせ致しましたー






 *・*・*










 誕生日パーティーは盛大に祝っていただき。


 私へのプレゼントは、このお城に用意されていた私のお部屋にあるらしい。


 とりあえず、そこに行くのはまだだけど。締めくくり前に私はダンスをすることになった。相手は、当然と言わんばかりに。



「……お手を」


「……はい」



 もうお決まりと言わんばかりに、カイルキア様と踊る事になっちゃった……。嬉しい……嬉しいよ?


 だけど、好きな相手とこんな公の場で踊って良いものなんでしょうか!?


 身分差は気にならなくなったとは言え、自分から告白だなんて出来ない!!


 とりあえず、楽曲が演奏者さんから聞こえてきたので、カイルキア様の手を取った。シャミー君達と鍛えに鍛えまくった、レッスンの成果を今ここに!!


 足を踏まないように気をつけてながら、踊っていると……他にもレクター先生にアイリーン様。お兄さんやシャルロッテ様などと、ペアがいらっしゃる方々が一緒に踊ってくれた。


 ちょっとだけ、ほっと出来たけど。



「……色々あったとは言え、チャロナはここに住まう方でよくなかったのか?」



 ダンス途中に会話。余裕があって当然のカイルキア様だけど、ダンスのステップもゆっくりにしてくださったので私も答えられそうだ。



「……ご迷惑でしたか?」


「まさか。チャロナのパンもだが……皆も喜ぶだろう。お前は立派にあそこの一員だからな?」


「でも、私。本当は王女だったと言うのは……」


「伯母上の姿絵そっくりだからな? 黙っていてくれるが、大抵の者は気づいている。それでも、皆お前を『チャロナ』として接してくれただろう?」


「はい……」


「だが、王女とわかり。伯父上やシュラだけでなく、伯母上と過ごすのも良いのではと俺は思っただけだ。お前のしたいようにすればいい」


「…………」



 迷惑とは思われていなくても、私は王女だと自分でも認識出来たから……このお城での生活が幸せなのかもしれないと、思ったのだろう。


 でも、私は。


 あのお屋敷で過ごしたい。


 カイルキア様のお側にいたい。


 想いが叶うかどうかはともかく……あのお屋敷で好きなパンをたくさん作りたい。


 その思いを正直に伝えようとした時に。


 私の頭の中で、何か弾けた。


 痛みはなかったが、何か膨大な記憶が流れ込んできて……びっくりしてよろめきかけた。



『チャロナ。嘘偽りのない俺の本心だ、聞いてほしい』


『……俺は、戻る。…………無理せず過ごせ。約束は反故しないつもりだ』



 カイルキア様に何度か抱きしめられた事。


 事故とは言え、キスしてしまった事。


 私が告白しようとした事。


 カイルキア様から何か告げられようとした事。


 それらの記憶が頭の中で弾けて、ぐるぐると思い出して来て。


 まさか、と私はある考えに至る。


 その中にフィルドさんの『今はまだ』と言うのも思い出せて、確信が出来た。



「チャロナ、大丈夫か?」



 少しよろめいたので、カイルキア様の心配してくださる顔が近くに見れてドキドキとしてしまう。


 自惚れかもしれないが、この人からも想われているかもだなんて。


 こんな公の場で聞けますか!?

次回はまた明日〜

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