表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

676/825

163-5.王妃の復活

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 歌を歌っていて、よくわかる。


 この子守歌は、大切な……大切な人達のために歌う歌なんだと。


 眠ってしまった皆を起こすために。起きて欲しいと願うために。私とお母さんは何度も何度も歌った。


 そうして、お父さん達が体を起こした音が聞こえてきてから、私とお母さんは歌うのをやめた。



「王妃……!? アクシア!!?」


「王妃殿下!?」


「何故!? 何故亡くなられた王妃様が!!?」



 まあ、この反応は仕方がないと思う。


 私は経緯を覚えていないが、一度死んだはずのお母さんが生き返ったんだもん。しかも、当時の姿じゃなくてお父さんと同じ年齢くらいにまで老化しているし。


 お父さんとシュライゼン様……お兄さん(と呼んで欲しい意味が今ならわかるけど)は、お母さんを見るなり涙を流しながらこっちに駆け寄ってきた。



「アクシア!?」


「母上!!?」



 走ってきたのは、お兄さんの方が早くてお母さんはお兄さんを抱き止めた。王太子とは言っても、お兄さんもただの人間だ。立場がどーのこーのあっても、死んだお母さんが生き返ったんだから驚く以上の感情があふれかえるはず。……お父さんはそのお兄さんごとお母さんにぎゅーぎゅーに抱きついたけど。



「アクシア……!! アクシア!?」


「あなた……」


「ち……ぢう、え……ぐるし!?」


「今くらい耐えろ!?」


「無茶言うんじゃないんだぞ!?」



 感動の再会とはなったけど、私は間に入りにくかった。だって、実は家族だなんて知る事が出来なかったお兄さんとお父さんとは、今まで他人として過ごしてきたんだから……私は入っていいのかわからなかった。


 だから、少し距離を置いて眺めていたら誰かに腕を伸ばされた。



「チャロナもだ!! アクシアが生き返った事情はわからないが……よく戻ってきた!!……ん?」



 お父さんが、お兄さんごと抱きしめていた腕をほどいて、私も無理矢理輪に加わらせた。だが、マンシェリーではなく『チャロナ』と呼んでしまったことに、すぐに疑問を浮かべていたが。



「……お父さん」



 今までは他人として接していたが、今からは違う。


 この世界で、ちゃんとした家族がいることがわかって。私は……自然と涙が浮かんだ。



「ああ、俺がお父さんだ!! やっと名乗れる!!」


「俺もお兄ちゃんなんだぞ!!」


「ふふふ」


「!?」



 お母さんが笑ってくれて、『ああ……家族が揃ったんだ』と思ったけど。そのお母さんが、お父さんから離れてユリアさん達の方に向かう。


 そっちは、私を殺そうとしてた若い男の人も含めて色んな人達が縄でぐるぐる巻きになっていた。



「……強固派の者どもよ」



 お母さんの声が、声音は同じだけど怖い感じになった。


 だからちょっとびっくりして、思わずお兄さんの腕にすがりついてしまう。


 けれど、お母さんは捕まった強固派の人達に向けてさらに言葉を告げた。



「王女である我が娘だけでなく、我らの近親者に向けても色々画策していたようだな? わたくしが亡き者であった頃も見ていたぞ? 陛下の心労を増やしていたとは……そちらにいらっしゃる最高神方の御手で捕らえられた意味がわかるか?」



 お母さんだけど、やっぱり王妃様だから貫禄が凄い!


 たしかに、私は殺されそうになったけど、『いいぞ! もっとやったれ!!』って場違いな気持ちになっちゃう。それだけかっこいいんだもん!!



「王妃の言う通りだ。これまでに最高神方によって、禁術をかけられた者どももいるが……情けは無用。処罰は追って伝える。牢に入れておけ!!」


『はっ!!』



 と言うわけで、お父さんである国王様の指示で、騎士さんみたいな人達にぐるぐる巻きになった人達は、連れて行かれたのでした。

次回は月曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

こちらの作品も出来たら読んでみてください。
下のタイトルから飛ぶことが出来ます。



名古屋錦町のあやかし料亭~元あの世の獄卒猫の○○ごはん~


転生したら聖獣と合体〜乙女ゲーム攻略のマッチングを手助け〜
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ