163-4.王妃の再生(ユリアネス視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(ユリアネス視点)
フィルドと姫から抜き取った長い髪を一筋……端と端をつまんで、さらに白くなった空間に緑の線を作る。
血の繋がりは、大事。
魂はずっとこの空間で保管していたから大丈夫。
あと必要なのは、肉体。
腐敗してしまった、アクシアの元の身体を再生させるのも可能でなくはないが……見ていて気持ちのいいものでもないし、アクシアから血を分け与えられたチャロナがいるのなら問題はない。
フィルドと髪を引っ張って、力を込めて。
淡く緑の光が強くなったら、端と端を蝶のように結んでいく。
「繋げ」
「繋げ」
私達が言霊を紡げば、蝶の部分が強く光り出して……ひとりでに動いて中央に集まっていった。
そして、二つの蝶が重なると、人型の器が出来上がった。光のみなので、アクシアの形態ではない。あとは、ここにアクシアの魂を埋め込むだけ。
「来なさい、アクシア」
カイルキアに支えてもらっているアクシアは、実は魂のみ。
このまま空間にいるから触れることが出来るだけ。私が呼べば、すくっと立ち上がり……あっと言う間に魂の形、丸の形に変化していった。
チャロナ達が声を上げたが、アクシアの魂はこちらにやってきて、人型の光の中に自然と吸い込まれていく。
「華開け」
「とこしえに」
また私達が呟けば、人型が魂を受け入れたことで形が定まっていった。
手足。
身体。
髪。
と言った具合にだんだんと形が出来ていく。
魂の状態だった時よりは、齢を重ねさせたアクシアの姿が出来上がった。あの親馬鹿で愛妻家であるセルディアスの国王の隣に立っても、不釣り合いでない見た目に。
少しふらついたが、身体が出来上がったアクシアが地面の上に立つと。自分の手足を見つめていたわ。
「わ……たし……?」
「お母さん!!」
「伯母上!?」
駆け寄ってきたチャロナ達に、アクシアは娘を抱きとめた。すぐに涙を流したことで、己が生き返ったことを実感出来たのだろう。
「チャロナ……カイル……本当に、私」
そうして、左右にいる私達に顔を向けてきた。
「ありがとうございます。……このように生き返られるだなんて、思わず」
「私達よりも、チャロナに礼を言いなさい? 選んだのはその子なんだから」
「はい。チャロナ……!」
「お母さん!!」
アクシアももちろんだが。
この世界は救われたのだ、ひとりの少女によって。
転生させて、この『虹の世界』に連れてきたのは間違いなかった。
最適な、最上の選択を予想していたとは言え、選んだのだから。
だから、私達は狭間で出来る事はこれで終わりと告げてから……ロティはチャロナの影に入り、三人を玉座の間に転送させた。
そうして、全員が倒れているのにチャロナ達は驚いたが。
「チャロナ、アクシア。セルディアスの古歌を歌いなさい。それを引き金に全員が目覚めるわ」
「「はい」」
二人が歌い始めると、すぐ近くにいたマックスやレクターが動き出して。
玉座で倒れてたアインズバックやシュライゼンにカイザークも。
他の臣下達も目を覚ましたわ。
ただ、イシューとかおバカな強固派だけは逃げ出さないように、フィルドと一緒にぐるぐる巻きにしたわ。
次回は金曜日〜




