163-3.ひとつの別れ
お待たせ致しましたー
*・*・*
空間が真っ白からさらにまばゆい白に変わっていき、ロティもちゃんと目が覚めて私に抱きついてきた。
私くらいに大きくなったけれど、ロティはロティ。私の大事な契約精霊に変わりない。
ひとしきり抱きしめあってから、ユリアさん達の方に向き直った。シアちゃんやフィルドさんも笑顔でいたわ。
「やったね、チャロナ!」
シアちゃんは私と目が合うと、ダッシュで駆け寄ってきた。だけど、そこからが驚きだったわ。
シアちゃんがこっちに来るにつれて、体が少しずつ大きくなって……だんだんと小学生サイズから中学生くらいになったの?! 神様って本当に何でもあり!?
そして、私の方にダイブしてきたから慌てて受け止めた。柔らかい体を抱き止めて、ちょっとドキッとしたわ。羨ましいくらいにどこもかしこも柔らかいんだもん!!
「これで、私もフィーと一緒に行けるわ!」
「行く?」
「私が統べる世界は、じぃじ達がいるここじゃないの。まだ生まれたばかりの眞白の世界。そこが私の行くところ!」
「……じゃあ、お別れ?」
「とりあえずね? 私がリンクさせる任務も終わったから……ね、フィー?」
『……そうだね?』
誰? と、シアちゃんが振り向いた方向を一緒に見ると……今のシアちゃんよりちょっと年上っぽい、全身が真っ黒だけど……少し透けている超絶美少年がそこに立っていた。
初めて……だと思ったのに、頭の中で何かが弾ける音が聞こえると。夢の中でシアちゃんと一緒にいた男の子だって思い出せたわ。
「あなた、あの時の……?」
『記憶の封印が解けた今だからわかるしね? 改めて、僕はフィルザス。ディーシアの兄であり、伴侶でもあるんだ』
「……神様って、兄弟で結婚していいの?」
『ふふ。面白いとこに気づくね? けど、じい様やばあ様だってそうだよ?』
「え」
フィルドさん達に振り返ると、フィルドさんはほっぺを掻いていたしユリアさんは苦笑いしていた。けど、日本でも神様って兄弟結婚多かったし、いいんだなと思うことにした。
シアちゃんはフィー君のところに行くと、フィー君が透けているのに彼が抱き止められた。やっぱり、そこは神様だからか。
「またね! チャロナ〜!!」
シアちゃんが私に向かってバイバイすると、フィー君と一緒に消えてしまった。いきなり過ぎて、お礼もお別れの言葉も何も言えず、呆然とするしか出来なかったわ。
『行っちゃったでふぅ』
ロティも少し寂しそうだった。シアちゃんが赤ちゃんの姿だった時に遊んでもらったもの、寂しくないわけがない。
けど、とりあえずって言ってたからまた会えるのだろう。
次は、私達もだけど、お母さんをなんとかしなきゃ。
多分だけど、お母さんは今幽霊に近い状態かもしれないから。
「フィルドさん、ユリアさん」
残っている神様のお二人を呼ぶと、お二人とも私に向き直ってくれた。
「お母さんを……ちゃんと生き返らせるためには、どうすればいいんですか?」
私が質問すると、お二人は互いに目を合わせてからひとつ頷いた。
「あなたの異能とは違う、王家の継承者としての魔力。それを使えば可能だわ」
「そんな力が……?」
「今のあなたの髪色……カイルキアがさっき教えてくれたでしょう? 彩緑の髪には、かなりの魔力が宿っている証拠なのよ。その血の繋がりを通じて、アクシアに最適な肉体を与えればいいわ」
「……頑張ります!」
「ふふ。と言っても、あなたから髪一本もらうだけでいいのよ?」
「ふぇ?」
素っ頓狂な返事をしている間に、ぷつんとユリアさんに髪を抜かれて。
緑の線のように浮かんだ髪の毛から、光がほとばしった。
次回は火曜日〜




