162-4.見守る(アクシア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(アクシア視点)
我が子が……とうとう、私の目の前にやって来た。
神のご厚意により、幾度か夢を通じて会ったことはあってもその記憶のほとんどは封じられた。
けれども、今は。
我が甥であるカイルキアと共に、この異空間へとやってきた我が子は……本当に、私の若い頃とそっくりで。
私とロティと言う、精霊のような……実は繋がっていた存在の玉を見た途端、二人揃ってぽかんと口を開けてしまっていたわ。
場違いな感情ではあるけれど、可愛らしい。
カイルキアは、本当に父君であるデュファンにそっくりだわ。
だけど、懐かしさと嬉しさに浸っている場合ではない。
私は……ロティとの繋がりのために、魂を繋ぎ止められただけの存在。
我が子が、神から伝えられた選択肢をどう選ぶかで……私の魂の道筋も変わっていく。
(……あなたの思うがままに選んで、マンシェリー……)
一度目を閉じてから開くと、あの子の困惑している表情が見えてきた。
最高神の皆様方に、きちんと説明をしていただいているけれど……迷っているのがすぐにわかった。
それは当然だ。
この世界を左右する選択をいきなり迫られているのだから。
私は一度死んだ身だから……。
あなたの選択次第では、蘇生されるかもしれないけれど。
私やロティのために、世界を左右する選択をどうか間違えないで?
つい、苦笑いしてしまうと……マンシェリーが立ち上がってこちらにやってきた。私とロティの前に立つと、両の手で、私達が入っている玉に触れてきたのだ。
「…………私の選択次第で、この二人はどうなるんですか?」
マンシェリーが静かに聞くと、金の髪を持つフィルド様は細く長いため息を吐いた。
「……選択次第では、ロティは消滅。君の母親の方は冥府に行く」
「……助ける方法は……私次第ですか?」
「その通り」
マンシェリーは少し俯いてしまったが、すぐに顔を上げた。
「選びません!」
そして、力強い言葉を響かせた。
「二つの選択は選びません! 欲深いと思われても……私は全部助けたい!!」
『マンシェリー……!?』
私が声を上げた途端、私を包んでいた玉にヒビが出来たのだった。
次回は木曜日〜




