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162-3.選択肢

お待たせ致しましたー

 選べる。


【枯渇の悪食】をなかったことに出来ると言う選択肢を与えられた。


 だけど……なんで、『私』が出来るんだろうか?



「どうして……私が?」



 ようやく口に出来た言葉に、シアちゃんはまたにっこりと微笑んだ。



「この世界のため、と。あとは、私がこれから管理する世界のため」


「世界……?」


「あなたの生は、(あお)の世界……あなたやマックスで言うところの地球と呼んでいた世界で……命を落とした。それから冥府に行く前に、あなたとマックスを選んで……こちらの世界に転生させたの」



 私の疑問には、ユリアさんも答えてくれた。


 だけど、最後の方に不自然な言葉があった。



「私と……悠花(マックス)さんが?」


「ええ。あなた達はほぼ同時に命を落とした。その事は、後でマックスから聞いて? 今は選んで……でないとこの世界の安寧までも揺るがすの」


「神よ、安寧とは……?」



 カイルキア様がユリアさんに聞くと、ユリアさんは細く長い息を吐いた。



「【枯渇の悪食】の影響は今でも続いているの。食文化なんて可愛い方。土地などの豊穣の問題が今も続いているわ」


「え!? けど、ウルクル様の加護があるところは……!」


「カイルキアのあの屋敷は特別。ウルクルの(つがい)が管理していて、かつあなたも加わった。だから、あそこだけはあなたも知るごく普通の状態を保てている。けど、それもあと数年で限界が来るわ」


「……どうすれば」



 どうすれば、悪食の再来を防ぐことが出来るのだろうか。


 私だけしか出来ない状況ではあっても、いったい何をすれば。


 選ぶって言うのもだけど、変化してしまったロティから聞こえてきたあのアナウンスも気になる。


 考えていたら、今度はフィルドさんが私の前に立った。



「選ぶのは三択」



 と言って、私の前に手を出して『三』の形にした。



「このままを望むか。君の異能(ギフト)を差し出して解決するか。あとは……選ばないか」


「選ばない……?」


「前のどちらも選ばない。君自身の望みで変化するんだ」


「…………」



 どれを選んだとしても、何か代償を得るのだろう。



「あなたに与えた『幸福の錬金術(ハッピー・クッキング)』で。この世界を救うか殺すかが決められる。フィルドの今言った選択肢で……世界が変わるわ」


「何故、私に……?」


「適合者だったのと。転生させた、君が本来は王女だった道筋が戦争によって外された。だから、ただの女の子として様子見してたのを……カイルキアのところへ行かすのに色々操作させてもらった」


「カイル様に見つけていただいたのは……たまたまじゃないんですか?」


「そこは、俺達は神だからね? 色々操作したんだ。君が王女として城に戻るために……この場に来てもらえるように、ね?」


「あと、あのおバカな強固派とかってお子ちゃま達にも色々と」


「強固派……」



 私が王女と発表された時に、集まっていた臣下の方々の中から飛び出してきた若い男性。


 すぐに、アインズさん……お父さんの指示で捕まったけれど。なんで、私を殺そうとしたんだろう。王女が邪魔だったから?



「アーネストの弟子になったのが気に食わなくて殺そうとしたお子ちゃまよ? チャロナはなーんにも悪くないわ」


「お師匠様が……?」


「そ。で、選ぶの? どうする?」


「…………」



 時間があるようでない。


 だけど、選ばなければ……私とカイルキア様も、ロティもお母さんも。


 この空間から出る事が出来ないのだろう。

次回は月曜日〜

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