161-4.狭間へ
お待たせ致しましたー
*・*・*
頭が……重い。
体も重かった。
何か、目の前が真っ暗になっただけなのは分かったけど。
国王様だったアインズさんと、カイザークさんが私を彼の娘であり王女だと大声で言った途端。
私は驚きと同時に、自分の意識が遠のいていくのがわかった。その後に、何か起こったのかはわからない。
だけど、何故か。
気がついたら、暗い空間にカイルキア様と一緒に倒れていたのだ。
「…………ど……こ……?」
夢では、ないと思う。
カイルキア様と一緒だから。
現実だとしたら、いったいここはどこなのだろうか。
まさか、いきなり投獄?
「な訳ないない」
だったら、カイルキア様まで一緒なはずがないから。
仮に何か玉座の間でしでかしていたからって、男女が同じ場所に閉じ込められるだなんておかしい。
と言うか、牢屋にしては鉄格子もなんにもない。どこかの部屋にしては、真っ暗なのにカイルキア様の姿が見えるのは変だ。
とりあえず、カイルキア様を起こそう!
「カイル様! カイル様!!」
ゆさゆさと肩を揺さぶったら、カイルキア様はすぐに目を覚ましてくれた。起き抜けの声には、腰砕けになりそうだったけど!?
「…………チャロナ?」
「あ、え……と」
まだ、この人は私と呼んでくれるんだ。
アインズさん……国王様やカイザークさんの言葉はちゃんと覚えている。
だから、ここはきちんと確認をしよう。
どうして、ここにいるかは相変わらずわからないけど。
「…………覚えて、いるのか?」
「え?」
「……陛下のことも。お前自身の事も」
「…………はい。玉座の間でお聴きした事は」
「…………すまない。今まで騙すような事を」
「い、いえ!? けど……どうして、私が王女だなんてわかったんですか?」
「…………その髪色と顔だ」
「ふぇ?」
「お前の実の母親と瓜二つなのと……兄であるシュライゼンと同じく、王家の血を受け継ぐ事でしか現れない……彩緑の髪色だ。それは他国でも滅多にないとされている」
「……あ」
思い出した。一度だけ、リュシアの街でお姉さん達に声を掛けられた時に聞かされた話。
……あれは、その事だったんだ。
なんで、今思い出したのかはわからないが。
「……陛下達には報せたし、お前の事もきちんと会わせようとはした」
「はい」
「だが、出来なかった。……人間ではない方々の力によって」
「…………どう言うことですか?」
「カイルキアの言う言葉通りよ、チャロナ?」
女の子の声?
けど、私を知っているらしい。
誰、と振り返れば……小さな女の子が立っていた。
白銀に輝く髪に、同じような目の色。
だけど、どこか見覚えのある顔立ちだった。
「…………見た事ある。けど、誰……?」
「ま。この姿になってから、会いに行ってないもんねー?」
「え?」
「私は、ディーシア。シアって呼んでた、じぃじ達の赤ん坊になってたの覚えてない?」
「……シア、ちゃん?」
あの、可愛い……フィルドさんとユリアさんが連れていた赤ちゃんが?
なんで、急に小学生くらいの女の子に成長しているの!?
「そうそう。で、ここに呼んだのは……私達神の導き」
「……やはり、あなた方は神であらせられたのか?」
「そうよ、カイルキア? あなたが来たのは誤算だったけど」
「……帰されるでしょうか?」
「まさか」
シアちゃん……である神様が、上に手を挙げた瞬間。
暗かった空間が真っ白にと明るくなっていき……緑色の何かが彼女の後ろに二つ現れた。
それと、もうひとつ。
お爺さんとお婆さんのような神様が出て来た。
「よくここまで来たのお?」
「待っていたわ」
まるで、私を知っているような……?
と思っていると、お二人は自分の顔の前で軽く手を振った後に。
フィルドさんとユリアさんに変身してしまったので、私の頭がパンクしそうになった。
次回は土曜日〜




