161-3.神名を明かす(イシュー視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(イシュー視点)
計画が陛下に知られていた。
完璧だった筈なのに、何故……何故!?
だが、計画は終わってしまった。
僕が……僕だけでなく、他の強固派の臣下一同も捕らえられてしまったのだ。
計画では、陛下に進言してお褒めの言葉をいただく予定が……全て、水の泡となってしまった。
そして、今。
王女殿下には、神か何かが乗り移ったのか、魔法ではない光に包まれて……ローザリオン公爵と一緒に消えてしまったのだ。
ああ、その時理解した。
神は……僕なんかのちっぽけな人間には何も情けをかけてくださらないのだと。
あの王女殿下を、一番に気にかけていたのだとわかった瞬間……僕は全身の力が抜けて、暗部の一員の腕の中で倒れた。
途端、誰かが僕の前にやって来る音が聞こえてきた。
「……愚か。実に、愚か」
聞き覚えのある声が聞こえてきて、ゆっくり顔を上げると……同じように捕らえられていたはずの、フィルクスが僕を見下ろす形で立っていたのだ。
「フィル……クス?」
「お前は実に愚かだ。己の欲望に内側を蝕んでいき、王女を国王の前で殺そうとした。その罪は死罪以外で償われるだけでない」
誰だ、これは。
強固派として、紳士的に接してきてくれたフィルクスなんかじゃない。
もっと、畏怖を感じるような……こちらに圧力をかけるような物言いだけでなく、態度までもいつもの彼とまるで違う。
ちょうど、先程の王女殿下のような……もしくはそれ以上か。
「……フィルクス……?」
「我が名はそのようなものではない。ここで解き放とう、我が神名をこの場、この世界に。我が名は…………フィルド=リディク=ラフィーネだ!!」
その名を聞いた途端。
僕もだが、陛下や殿下。そして、他の臣下の皆様方。暗部一同も床に倒れてしまったのだった。
「神よ……何故」
玉座にいらっしゃる陛下の声が遠い。
僕は気を失う寸前に、最高神が苦笑いする声が聞こえてきた。
「すべてはこの世界とお前の娘のためよ」
それからの記憶は、よく覚えていなかった。
次回は水曜日〜




