160-2.待機
お待たせ致しましたー
お城に到着しても、いきなり式典と言うわけではないようで。
シュライゼン様の転移魔法で連れてきていただいたお部屋で、しばらく待機だそうだ。ただ、私はヒールなのですぐに椅子に座らされてしまったが。
「体力温存。あと、チャロナには慣れないマナーで体勢が大変だろうから、休める間に休んでおくんだぞ!」
と言うことで、私だけ椅子に座っている状態。
カイルキア様達は立ったままなのに、いいのだろうかとは思ったけど……悠花さんから肩を軽く叩かれた。
「シュラの言う通りよん? 楽出来るうちに楽しておいた方がいいわー」
「……そうかな?」
「そう言うもんよ?」
「俺はちょっと用事あるから、また後で〜」
じゃあねー、ってシュライゼン様は部屋から出て行ってしまう。
どうしたんだろうと思っていると、入れ替わりのように扉がノックされる音が聞こえてきた。
「……ローザリオンだが」
対応してくださったのは、カイルキア様でした。
「儂じゃ。アーネストじゃわい」
「私もいるぞ」
「お師匠様!」
来てくださったのは、お師匠様にフレイズ様だった。悠花さんが扉を開けると、綺麗に正装されたお二人が入って来られた。
控室に来たのはついさっきなのに、事前にシュライゼン様がお伝えしてくださったのだろうか?
「おお! 我が弟子に相応しい出立ち!! どこぞの姫と言われてもわからんぞ?」
「うんうん」
「あ……ありがとうございます!」
お姫様だなんて言い過ぎだと思うけど、自分でメイクしたわけじゃないし、メイミーさん達のお陰なんだから胸を張っていないと。
「陛下の御前とは言え、チャロナちゃんは堂々としていれば良い。パン作りで儂らに指導していたあんな感じで大丈夫じゃよ」
「そ、そうは言いましても! こ、国王様の前ですよ?」
「心配することはないぞ? 陛下とは言え、ヒトの子だ」
「そうじゃな?」
たしかに、ハーフエルフのお二人からすれば、断然歳下の子供かもしれないけれど……私は緊張しないわけがありません!!
大丈夫かな、と思っていると誰かに頭をぽんぽんと撫でられた。
「……カイル様?」
撫でてくださったのはカイルキア様で、顔を上げるとスミレ色の瞳とぶつかった。
「……アーネスト殿の言うように、落ち着いていれば大丈夫だ。俺達もいる」
「! はい!」
そうだ。
今私はひとりなんかじゃない。
あのパーティーから放り出された時とは違って、たくさんの頼れる人達に囲まれているのだから。
「あら〜? カイルのアドバイスには素直ねー?」
「ゆ、悠花さん!?」
後ろからこしょっと言うんだから、心臓に悪い!
けど、変な緊張感はほぐれていった。
次回は火曜日〜




