表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

652/825

158-4.穏やかな日々

お待たせ致しましたー






 *・*・*










 ほんとに、ふにゃけた表情になってしまったけれども。


 悠花(ゆうか)さんにも大好評だった、バター乗せのチーズケーキ風蒸しパンを、カイルキア様とレクター先生のところに持っていくことにした。


 ワゴンだと、お屋敷に匂いが充満しちゃうから無限∞収納棚に入れて、ぱっと見は手ぶらで三階に向かう。


 すれ違う使用人の皆さんからは、今日のおやつは何? 何? と聞かれたけど、『行ってからのお楽しみです!』とだけ言うだけにしておいた。



(一階に行ったら、すぐわかるし……ふにゃふにゃ被害者? が増えるだけだもの?)



 とりあえず、ロティを連れて三階に向かうと執務室の前でメイミーさんが出てきたとこだった。



「あら、チャロナちゃん」


「お疲れ様です。今おやつ出来ました」


「あら! 楽しみにしてるわ! 旦那様とレクターなら、ちょうど休憩されてるところよ?」


「はい!」


『でふぅ!』



 なので、ノックしてから入らせていただき。


 ちょうどコーヒーを飲んでいらっしゃったのか、お二人はのんびりしてたところでした。



「今日のおやつは、チーズ蒸しパンと言うのを作りました!!」


『でふぅううう!!』


「チーズの?」


「蒸しパン??」


「はい。クリームチーズを使った蒸しパンです。さらに、それをアレンジしました!」


「へー?」


「……出してくれるか?」


「はい!」



 カイルキア様にお願いされたので、ステータスを開いてテーブルの上にチーズ蒸しパンを出す。ひと皿に三つずつ。ひとつは普通ので、あとはバター乗せの状態にしたのを。


 当然、出来立てを収納棚に入れてたから、バターの芳香が部屋に充満するわけで。



「……なんだ?」


「…………すっごい、いい匂い!!」



 さすがはお貴族様だから?


 ふにゃふにゃにはならなかったけど、カイルキア様は口に手を当てて緩んだ表情を私に見せようとはしないでいた。レクター先生は、だんだんと顔がふにゃぁって。


 うん、対照的だけど見てて面白い。



「切り込みを入れてあるのには、バターを乗せてさらに炙ったんです」


「なるほど……いい匂いはバターのせいなんだ?」


「……クロワッサンとは違うが、香りが強烈だな」


「はい。私達もですけど、この幸せな香りに呑まれちゃって。しばらく動けなかったです……」


「……そうか。とりあえずいただこう」


「あ、外側の薄いのは紙なので食べれないです」


「「わかった」」



 そうして、バター乗せからパクリと召し上がってくださると。


 レクター先生もだけど、カイルキア様まで顔が『カッ』って感じに変わっちゃった。



『でふぅ?』


「おい……しい!!」


「トースト以外でこの味わい……!? パンはしっとりしてるのに、甘い。だが、クリームチーズのお陰でさっぱりもしている……!!」


「だよね、だよね!? 香りだけでもご馳走なのに、食べたらもっと幸せな気分になれるよ!!?」


「ありがとうございます!!」


『でふぅ!!』



 式典まであと三日。


 それまで、こんな穏やかに過ごせる日々を。式典が終わったらどうなるかわからない。


 だから、今を精一杯楽しむことにした。

次回は土曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

こちらの作品も出来たら読んでみてください。
下のタイトルから飛ぶことが出来ます。



名古屋錦町のあやかし料亭~元あの世の獄卒猫の○○ごはん~


転生したら聖獣と合体〜乙女ゲーム攻略のマッチングを手助け〜
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ