158-3.幸せバター(マックス《悠花》視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(マックス《悠花》視点)
……何?
何よ何よ何々!!?
この暴力的にいい匂い!!?
クロワッサンとも違うわ!!
なんか嗅いだことがあるような……けど、全然違ういい匂いなのよ!!
「ふぁ〜〜……」
「あ〜〜……」
「今日は何〜?」
あたしの前方にいるのは、最近三馬鹿とか言われるようになった、サイラにピデットにシャミー。匂いにつられて食堂までふらふらしてるけど……ここは、譲れないわ!!
「お先!!」
「「あ!?」」
「マックス様!!?」
「ふらふらしてるのがいけないわん!! こう言うのは早い者勝ちよん!!」
三馬鹿は放っておいて、ダッシュあーんど、るんたったで向かえば。
食堂に到着した途端、匂いはさらに濃くなっていく。
なんの匂いだったかしらん? 覚えはなんとなくあるんだけど。とりあえず、入口の扉を開け放ったら。
「……な〜によこれ〜〜……!?」
もわ〜んって、言う感じに幸せな匂いが部屋中に充満していて、思わずふにゃふにゃになっちゃうくらい……!!
けど、間近で嗅いだことで、匂いの正体はわかったわ!!
「ち・ぃ・ちゃ・ん〜〜!!」
ふにゃふにゃから立ち上がって、カウンターに向かえば。
あっちも大変そうだったわん?
「『「「ふにゃぁあ〜〜!!」」』」
『うにゃうにゃでふぅううん!!』
ついさっきのあたしみたいに、ふにゃふにゃ状態ねん?
けど、直接嗅いじゃってるから無理ないか??
「チーちゃん達ぃ? おやつまだ〜??」
ちょっと大声かけても、全員ふにゃふにゃのまんま。これは大変そうねん?
見える範囲に、その諸悪の根源? みたいなのを探してみたけど。調理台の上には、ぱっと見地味な蒸しパンぽいのがあっただけ。
けど、切り込みが入ってて何か溶けた後が。
「!?」
まさか、とすぐに裏口に回って厨房の中に入り。ふにゃふにゃの皆の間を縫って調理台の前に立てば。
さっき見た蒸しパンぽいものが、皿の上で黄金色に輝いているのが見えた。
「あ〜〜、ゆーかしゃぁん」
蒸しパンを見てたら、チーちゃんが半分くらい正気に戻ったみたいだわん?
「チーちゃん、これ……」
「うん! チーズ蒸しパン作ったんだけどぉ〜、切り込み入れてバター載せて炙ったんだ〜〜!!」
「やっぱり!!……それで、この匂い??」
「そうなのぉ〜……ふにゃふにゃなるくらいいい匂いで〜〜!」
たしかに。
クロワッサンはパイ生地のような、のだからパンみたいな匂いに混じってバターの香りが濃厚だけど。
これは、チーズ蒸しパンに直接バターを載せて炙ったんだから、桁が違う!
ベイクドチーズケーキのような蒸しパンに、バターを載せただなんて暴力的よん!! 食べたいわ!!
「チーちゃぁん、食べたいわぁん! 出来たてを!!」
「はぁ〜い! 作るよ〜〜!!」
ふらふらだったけど、大丈夫かしら? と様子は見てたが。
さすがは、プロ。
仕事はきちんとこなしていたので、蒸しパンに切り込みを入れてバターを載せて、ロティちゃんが変身したオーブンに入れたら。
トーストモードで焼いたのか、すぐに出てきて。
けど、あの暴力的なバターの香りが、どんどん広がっていって!!?
「はい! お待たせ!!」
香りの根源であるチーズ蒸しパンは。
ほんのりバターが塊で残ってて、軽く炙ったことで綺麗な焦げ目が表面や切り込みに出来ていたわ。
香りに負けそうになったが、熱々が一番! と、チーちゃんから皿を受け取って、あちちしながらフィルムのような薄い紙型を剥がしたら。
迷わず、ガブっとひと口!!
「〜〜……ん、ま!?」
最初に来るのはもちろんバターだけど。
あとから、蒸しパンの柔らかさにチーズ蒸しパンの味が際立っていて。市販の蒸しパンとは当然違うんだけど、しっとり具合ならこっちも負けてないわん!!
「美味しい美味しい美味しい!!」
一個だなんてペロリよペロリ!!
これは、カロリーの暴力だと言われてもいくらでも欲しくなるわん!!
「ふふ。良かった〜! そのままでも美味しかったけど、こう言うのも食べたくなるよね?」
「ナイスよ、チーちゃん!! あと十個は欲しいわ!!」
「えー? 悠花さんでもあと五個だよ?」
「え〜〜……?」
一個がカップケーキサイズだから足りないわ!!
次回は水曜日〜




