156-2.惚れたのは(メルクキス視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(メルクキス視点)
最初に気になったのはいつだったか。
マシュランが、たまたま立ち寄った冒険者ギルドから連れてきて。
(めっちゃ、可愛い!?)
と思ったくらいだから、もう一目惚れだったかもしれない。
戦闘能力とか、錬金術はあんま出来なかったけど。出来ないことよりも出来ることをしようと、頑張っている姿を見て、惚れていたんだなと自覚は出来たが。
(嫌がられるだろうな……)
と、胸の内に隠すことにした。
優男のマシュランとかとは違い、自他共に認めるいかつい体格に強面。出会った頃は、怖がらせたのを今でも覚えている。
『は、は、はじめ……まして。ちゃ、チャロナ=マンシェリー……です』
ミッシュ達とは違う、大人しい印象を受けた女、と言うよりかは少女。
どうして、マシュランが連れてきたのか。最初は全然わかんなかったが。……今なら、わかる。
今また向かっている、セルディアスに送り届けるためだ。あんな送り方は良くないとは、俺は今でも思っているが。
「メル……! メルクキス!! ちょっと来て!?」
感傷に浸っていたら、その脱退させたリーダーであるマシュランが声を上げていた。
なんだ? と腰を上げてそちらに向かえば。
ミッシュが、ラトの腕にしがみついていた。
これは……と、俺でも意味がわかったが。
「なんだ? お前ら付き合ってたのか?」
「ん」
相変わらず、言葉数が少ないミッシュに。さらに言葉数が少ないラトと言う組み合わせ。
まあ、意外と言うかなんというか。
戦闘ではペアを組むことが多いから、別段おかしくはないが。
「いつからだ?」
「……昨日、から」
「ほー?」
パーティーを組んで結構経つのに、今になってか。
そして、それを律儀にリーダーのマシュランへ告げるんだから、きちんと話し合って打ち明けたんだろうな?
「騒がしいわね? 何よ??」
「……なんだ?」
シミットやジェラまでやって来たので、全員が揃い。
俺がミッシュ達の事を言うと、シミットは飛び上がらんばかりに喜び出した。
「やっとやっと!? おめでとう、ミッシュ!!」
「ん、ありがと」
「ちゃーんと、幸せにしてやれよ? ラト?」
「…………ああ」
何はともあれ、めでたいことに変わりないので。
その日は、立ち寄った街の酒場で祝杯をあげることになった。
「…………僕。全然気づかなかった」
マシュランがエールをあおっていながら、何故か反省していた。
「安心しろ。俺もちっとも気づかなかったぜ?」
「うーん……いつから、だったんだろ」
「さあな?」
どちらにしろ、幸せになってほしい。結婚はまだ当分先なので、二人とも脱退はしないようだ。それについては、少しホッと出来た。
戦力が大幅に削がれると、俺らも結構困るからだ。ただ、現状は野営に手間取っているがな?
まだまだ、チャロナが抜けた穴を埋めることは、未だに出来ていないからだ。
次回はまた明日〜




