154-5.誕生日会⑤
お待たせ致しましたー
*・*・*
こんなにもたくさんの誕生日プレゼント。
千里でも、チャロナでも、今までもらったことがなかった。
だから、文字通り埋もれるくらいの誕生日プレゼント達の山にあっぷあっぷしていたが。
悠花さんやカイルキア様に助けていただいたので、なんとかなった。
「さ、チーちゃん? メインのケーキにろうそく消しに行くわよ??」
「あ、うん!」
この世界での誕生日のお祝いは、日本とだいたいは一緒なんだけど。ケーキのろうそくの火を消すのはフィナーレ間近って言うのが普通なんです。
だから、あっと言う間に誕生日パーティーも終わりを迎えるわけで。
半分以上、ガチガチでいたけども。
またカイルキア様に手を引かれて、ケーキのあるテーブルに向かう。
着いた時には、エイマーさんが準備してくださったのか、ケーキにろうそくが灯してあった。
歳の数分、十七本。
一気には無理でも、ちゃんと消せるだろうか?
「さ、チャロナ」
カイルキア様にケーキの前までエスコートしてくださったので。
何回か深呼吸をしてから、ろうそくにふーっと息を吹きかけた。
やっぱり、一回では無理だったので。二、三回に分けて。
日本とかじゃ、吹き消す時に願い事をするってあったから、今も願っていた。
(これからも……このお屋敷で、カイルキア様のそばでパンを作りたい!!)
当たり前のようで、そうじゃない。
あと数日で式典があるから、その日以降私の処遇がどうなるかわからないから。
だから、今願わずにはいられなかった。
そして、美味しい美味しいイチゴたっぷりのバースデーケーキを堪能してからは。
来賓に来ていただいた皆様に、改めて感謝のお礼を言ってお見送りをした後に。
メイミーさん達が、私の部屋にいただいた誕生日プレゼントを運んでもらうことになり。
ドレスもアクセサリーも、ひとりじゃ大変なのでメイミーさんに外していただいた。
「よく似合っていたのに……」
「こ、壊しそうですもん!!」
『でふ?』
ちなみに、ロティも着替えていた。メイミーさん達が私のドレスと共布で作ってくださったようで。ロティのアメジストのような瞳によく似合ってる、レースやフリル満載のドレスと言うよりはワンピースだった。
しかも、ローザリオン公爵家の皆さんから、ロティにもプレゼントをいただき。
今ロティの頭には、私のとは違うが可愛らしいティアラが乗っていた。可愛いロティにとっても似合うわ!!
「ふふ。式典当日にはもっと着飾るのよ? 明日からのレッスンでも慣れさせなきゃね?」
「え〜……」
「お城に行くだけじゃなくて、また受勲するのよ? 以前の授賞式とは場所も規模もこことは全然違うもの」
「……は〜い……」
たしかにそれはそうなので、頷くことにして。
とりあえず、普段着に着替えてから。夕飯までプレゼントの仕分けなどをすることにした。
ただ、あまりに多過ぎて。悠花さんにヘルプ要請を出したくらい。
「芸能人並みね〜?」
「ほんと。悠花さんが提案してくれなかったら、ここまでなかったよ」
「おっほっほ! とりあえず、あたしのはこれよん!!」
と言って、持ってきてくれたのは護身用にしては綺麗な短剣だった。
急いで、リュシアの街で買いに行ってくれたらしい。
普段から身につけるのは無理だから、無限∞収納棚に保管しておいた。
次は、と手にしたプレゼントは。
アイリーン様とはまた違う、ネックレスが入っているような上質な箱。
開けてみたら、四つ葉のクローバーのように配置されている、緑の宝石が四つ集まったネックレスに一枚のカードがあった。
「可愛い……綺麗」
「あら、それ多分カイルよ?」
「え?」
「どう準備したかは知らないけど。身につけやすいものって言ってたし、そのカード見てみなさい?」
と、悠花さんが言うので二つ折りになっていたカードを開ければ。
『感謝を込めて カイルキア=ディス=ローザリオン』
ああ、本当に。
カイルキア様が、好き。と、改めて実感したのだった。
次回はまた明日〜




