153-5.準備を整える(カイルキア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(カイルキア視点)
明日が、姫の誕生日。
つまりは、カイザーク殿によってホムラに亡命して、マザーのところへ預けられた日。
もしくは、明日が。
「……伯母上の、命日」
俺の目の前で亡くなった、アクシア伯母上。
シュライゼンと姫の実母。
伯父上であられる陛下の最愛の妃。
……俺の、敬愛する伯母上であった。
あの日、襲撃を受けるまでは。
あの日、俺は伯母上と一緒に、姫にいつものように子守唄を歌ってやっていた。
まだまだ幼い赤子だったので、姫が歌の内容を覚えているとは思っていなかったが。
「……伯母上。あの方は、たしかにあなたの御子です」
執務用の机の引き出しを開けて、伯母上の絵姿を取り出す。
もう随分と前のものなので、ところどころ色褪せてはいるが、姫をあと十年くらい成熟させた姿。
式典の時に、姫はこれ以上に美しい伯母上の絵姿を見ることになるだろうが。
どう、受け止めるかは俺にも誰にもわからない。
わかっているのは、最高神方だけだろう。
「……これも、受け取ってくれるだろうか?」
絵姿と一緒に仕舞い込んでいた、小さな小箱。
それを手に取るが、渡すのは明日ではないと、もう一度絵姿と共に引き出しに仕舞って置いた。
それよりも、姫の誕生会のために、急いで招待状を魔法鳥で送り届けねばならない。
伯父上はわからないが、シュライゼンやカイザーク殿に。フィーガスにカレリア、リーン達も来るだろうと実家の方にはすぐに飛ばして。
どれだけ参加してくれるかはわからないが。
とりあえず、伯父上は発狂しかけるだろうな、とため息を吐きながら思った。
「すごい魔法鳥だったけど、今送ったの?」
魔法医の仕事を終えてきたレクターが部屋に入ってきた。
「ああ。間に合うかはわからないが、送らない方が叱られるだろうからな?」
「はは。陛下は特に」
「来られるかはわからないが」
「無理矢理時間作りそうだけど……」
「否定出来ん」
「だよね……」
あと少しで、父親と名乗り出られるようだが。
式典の当日、最高神が何をされるかはわからない。
俺達も覚悟は決めているが。
姫がどうなるか。
それだけがただただ心配だったのだ。
次回はまた明日〜




