151-4.その頃(シュィリン視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(シュィリン視点)
明日。
明日で、孤児院への定例会もひと区切りとなってしまう。
俺と姫が会うのも、これを機になくなってしまうかもしれない。
(……いいんだ。それで)
俺の元の身分はどうだあれ。今は暗部部隊の一員。
姫も、自分の身分がきちんとわかれば、想いを寄せているローザリオン公爵と結ばれる。
俺の姫への想いは、割り切ればいい。
姫は、今まで苦労してきたんだから。その分、幸せになってもらわないと。
少し胸は痛むが、それでいいんだ、と意識を戻して。
今は、目の前のことに専念することにした。
「こら、そこ!!」
「「「「「ひぃいいいい!?」」」」」
今は、捕虜になった姫への刺客達を我々の普段使いに矯正しているところだ。
提案はフィセル様だが。
『恐ろしさを知れば、改善するかもしれぬ』
のお言葉通り、刺客だった男達はフェリクスに無理矢理着せ替えられた女物の服を着て。俺が監視しながら掃除をさせているのだ。
まあ、嫌だろう。
俺も最初の頃は相当嫌だったからな?
「お前達は雇われだったとは言え、この国の宝を抹殺しようとしてたんだ! 罪が軽くなるわけではないが、死なないだけマシだ!!」
「「「「「……はいぃ……」」」」」
床磨き、モップがけ。
あらゆる窓やガラス張りの部分も掃除をさせて。
まあ一週間と少しは経ったが。
最初の頃よりはマシだ。暗殺者ゆえに、道具の手入れをすることはあるだろうから素質はある。そのため、掃除はだんだんと上達していった。
調理については雑だったので、そっちはそっちで店長やレイリアと一緒に叩き込んでいるそうだが。
パンは姫以外の誰が担当しても同じだが、まあ食べられないよりはマシだろう。
とりあえず、式典まであと少し。
姫は本来の身分に戻ることになるだろうが。
俺が知る限り、彼女は受け入れにくいかもしれない。
これまで孤児として過ごしたせいもあるが。
前世の記憶まで蘇った彼女の今は、とても充実しているのだから。それを奪いとってしまうのだろうか?
(……姫、選ぶのは貴女だ)
決して、間違えて欲しくない。
次回はまた明日〜




