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151-1.難しい(フレイズ視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(フレイズ視点)










 何故、こんなにもうまくいかんのだ!?



「む〜ず〜か〜し〜い〜〜〜〜!!?」



 アーネストの開発中の魔導具を使いながらパンの試作を繰り返しているのだが。


 私の技術では、到底王女殿下には追いつけない。


 そもそも、体に馴染んでいたレシピが間違っていたのだ。一度だけ学んだ程度で姫様の技術に追いつくわけがない。



「……なんじゃ。難航しておるのか?」



 研究用の厨房でジタバタしていたら、いつ来たのかアーネスト殿が呆れた顔で私を覗き込んできた。



「……失礼。思った以上に難儀でして」


「まあ、お主でもそう感じるじゃろう? 王女殿下の技術は特に異質過ぎるからのぉ?」


「多少は近づけても、粉ひとつまみ程度。王女殿下は素晴らし過ぎましたぞ」


「じゃが、いいきっかけにはなったのではないか? この国から、世界のパンや米の食事法が変わるやもしれん」


「そうですのぉ」



 あのローザリオン公爵家の屋敷では、既にそれが日常となっているが。それが、この城だけでなく、この国全体から世界に広まっていけば一大事だけですまない。


 姫様だけでなく、私やあと何人かご教授いただければ、それも叶うだろうが。


 まずは、姫様がこの城に帰還するための式典だ。


 当日、姫様を亡き者にしようとする輩を、なんとか引っこ抜いて捕縛しなければいけない。



「……とりあえず、それが今作った試作か?」



 この前、私も教わった丸いパン。


 あれを徹底して作り込んでいるのだが。


 力の込め過ぎ、発酵の不足などなど。


 どこが決定的に悪いのかわからず、今までのよりはマシでもまだまだ姫様とご一緒に作ったパンには、追いつかない。


 アーネスト殿も、ひと口召し上がられたが、すぐに眉を寄せたのだった。



「……どうですかの?」


「うむ……だいぶマシではあるが、やはりむせそうになるのお」


「ああああ!! 姫様にご教授していただきたい!!」


「あと数日じゃし。当日には姫様のパンをいただけるじゃろう? 待つしかない」


「……そうですのぉ」



 あと、一週間と少し。


 姫様は式典当日や、孤児院への差し入れのために頑張られているらしいが。


 私も私だ。


 うだうだ言っていないで、試行錯誤を繰り返すしかない!



「やっほ〜! 様子見に来たんだぞ〜〜!!」



 と意気込んでいたら、シュライゼン殿下がいらっしゃった。



「これはこれは、殿下」


「あれからどうだい?」


「殿下、いくらかはマシになってきましたぞ?」


「うむ! フレイズ殿ならそうだと思ったんだぞ!」



 まだまだ至らない点が多いのに、もったいないお言葉だ。アーネスト殿が差し出したパンを、バターもつけずに召し上がってくださると。


 少し顔をしかめたが、味わうように咀嚼されていた。



「……殿下、どうですかの?」


「……うん。俺と爺やが作るのよりはだいぶマシだと思うんだぞ!」


「! 左様にございますか」


「あと少しだと思うんだぞ! アーネスト殿の魔導具にフレイズ殿の技術が向上すれば、きっとマンシェリーのように美味しいパンが出来ると思うよ!!」


「「はっ!!」」



 焦ってはいけない。


 だが、急ぐ必要もあるんじゃ。


 この世界で、大災害となった【枯渇の悪食】以前の、いにしえのレシピ達を甦らせるためにも。

次回はまた明日〜

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