149-4.困ったものだ(マックス《悠花》視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(マックス《悠花》視点)
寝てしまったチーちゃんとロティちゃんを見て、あたしは大きくため息を吐いたわ。
「……まったく、もう……!」
勤勉家、努力家なのは知ってたけど。休むようで休まないんだから、こーのーこーはああああああ!!
ノックしても全然返事がないから、また何か最高神達が何かしたんじゃと思って入ったのに。
実際は魔法か技能を試すのに夢中になってた。
ほっんとーに!
無茶してないかもだけど、無茶する子なんだから!!
「……まあ。元日本人で働き者だったチーちゃんだものね?」
前世でもパン職人だったから、研究熱心なのは仕方ないかしら?
あたしは、まあ……普通のOLだったし。サボれるとこはサボりたかった癖があるから、今の生活はまあまあ気に入っている。
カイル達とパーティーを組んでた時は、命と死が隣り合わせだった生活でもあったけど、悪くはなかった。生きてるって、実感出来たから。
「……それより。いよいよ来週ね?」
チーちゃんのための式典。
チーちゃんに、おそらくすべての真実を話す機会。
チーちゃんは大丈夫だと思うけど。色々ショックは受けると思う。
転生前の記憶が戻るまで、孤児で、魔力も血栓みたいに不調だったから冒険者でも役に立たなかった日々を送っていた。
それが、本当は。
この世界でも、トップクラスの王国の王女様に転生してただなんて知ったら。
受け入れるだろうか?
大勢の人間の前に出るから、失神は多分……ない、はず?
「どうかしらん……?」
お城で式典をするってだけでも気を失っていたくらいだし?
けどまあ、最近はスパルタだけど、メイミーのマナーレッスンは頑張っているようだもの。メイミーは、強固派だったギフラの婆さんの問題は無くなっても、チーちゃんのためにこの屋敷に残ったのだ。
サリーはきっと寂しがっているだろうけど、子供の成長は早いんだもの? メイミーに聞いたら、我慢してギフラんとこの屋敷でいい子にしてるそうだわ。
けど、チーちゃんが王女だとこの子自身が知ったら、メイミーもきっとギフラの屋敷に移るかもしれない。副メイド長のアシャリーに、引き継ぎ作業をしているのもあたしは知っている。
「……んにゃにゃ……かいる、きあ……しゃまぁ」
ちょっと考え事してたら、チーちゃんが寝言を言った。普段はあたし達みたいに愛称で呼ぶのに、自分だけだとちゃんと呼ぶらしいのよね?
前に寝ぼけてカイルに抱きついた時もそうだったけど。
「…………はやく、あたし達のようにちゃんとくっついてほしいわ」
フィルド達のせいでまだだとされちゃってるけど。両想いだもの、幸せになってほしい。
『にゃむ……にゃー、おにぃしゃー……』
同じく、疲れて眠っちゃってるロティちゃん。
レイ好みにだんだんと成長しているとは言え、こっちもこっちで互いに両片思い同士なのはチーちゃんから聞いた。
「……はやく、平和な生活を送れるようにしなくちゃなんないのに」
普段は平和でも、あのイシュー=メルバルトって馬鹿な男爵のせいで、裏では面倒なことになっているのはこの子達には言えない。今は。
『城内の強固派はだいぶ炙り出せたけど、イシューについてはまだ様子見なんだぞ。罪を重ねさせるのはよくないと思ってるけど……もう手遅れだ。家の取り潰しだけでなく、処刑確定だからね?』
部屋に来る前に、シュラがあたし達に言った事。
それが本当なら、もう手遅れ同然。
アーネストの爺様を敬愛し過ぎて、妄執となった結果だ。もう改善は無理そうだもの。
「どーにも。日本以上に平和なようでそうじゃない世の中に来ちゃったものね……?」
まあ、それでもあたしも今の生活が気に入っているけど。
とりあえず、チーちゃん達の頭を軽くぽんぽんしてから、厨房に向かい。
おやつに、またホットケーキを焼いてあげようと思った。
次回はまた明日〜




