148-2.心配(マックス《悠花》視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(マックス《悠花》視点)
たーぶん、チーちゃんがレベルアップしたんだろうけど。
「おーきーてー、チーちゃぁあああん!?」
『ロティぃいいいい!?』
あたしはチーちゃんを。
レイはロティちゃんを。
肩を揺さぶっているんだけど、二人とも目の光が消えて、意識が飛んじゃってる状態。あたしが見る機会はそう多くないけど。
ここ最近レベルアップするタイミングだと、意識が一瞬遠のく程度だって聞いたのに。もう十分以上経っているわよ?
ど・ゆ・こ・と!?
とにかく、揺さぶっても全然意識が戻らないわ!
仕方ないから、地面に寝かせてあげたけど。
「どーしたもんだか……」
『マスター!? ロティが起きないでやんすよぉおお!?』
「だーらっしゃい!! こっちも同じなんだから、膝枕してあげなさい? しばらくしたら起きると思うわ」
『……あい』
まったく、好きな子に対しては冷静でいられなくなるんだから。
ま、あたしももし愛しのエイマーがって思ったら、もっと取り乱していたかもしんないわ。マブダチを蔑ろにしてるわけじゃないわよ?
「しっかし……今レベルどんくらい? レイの眼じゃ鑑定出来ないんでしょ?」
『無理でやんすね……』
精霊は意外となんでも有りなんだけど、チーちゃんとロティちゃんは普通じゃないもの。
ステータスは他人から見れないようになっているし、もし見れたとしても虚偽されているはずだ。
チーちゃんが、定例会以外で街に行かないことになってるから誰にも見られていないけど。カレリアでも見抜けるかわかんないしね?
「あーもう! 神とかは何がしたいのよん! いくらあたしがSSランク冒険者だからって、出来ることと出来ないことくらいあるわよん!!」
地団駄を踏んでもしょーがないとは思うけど。
全然、ぜーんぜん! 一向に目が覚めないのよ!?
あたしにどーすればいいのよ、フィルド達ぃいいい!?
『……訓練中断して、帰った方がいいでないでやんすか?』
「……うーん。その方がいいかもしんないわね?」
だいたいの稽古はつけたし。まだ明日もある。
とりあえずは、チーちゃんの安全のためよ!
レイの提案に乗って、大虎になったやつの背に乗り、あたしはチーちゃんとロティをしっかりと抱えたのだった。
「あ、おかえりなさい! マックス……さ」
たまたま降りたとこが、庭師のピデットがいた中庭だったけど。あたしの余裕のない表情とチーちゃん達の様子に、持ってたほうきを落としてしまった。
「レクターを呼んできて!」
「は、はい!!」
ちょっと騒がしくしかけたけど、そんな場合じゃない。
レクターが来るのを待ってても、チーちゃん達は起きなかった。結構な時間が経っているのに、やっぱりおかしいわ!!
「マックス!」
ピデットに呼ばれたレクターが来てくれたので、簡単な説明をすると。レクターはレイの背に乗ったままのチーちゃん達を簡単に診察してくれた。
最後に手をおでこに当ててから、首を横に振った。
「前に何回かあった症状と変わりないよ。とりあえず、部屋で寝かせよう」
「……また一日くらい起きないのかしら?」
「……その可能性は捨てきれないわね」
「どうした!?」
で。
ここで、カイルがやって来たのでまた説明して。
チーちゃんは自分が運ぶと言ってから、彼女の部屋のベッドまできちんと運んでやると。
執務室には戻らず、手を握ってあげながら見守っていた。
「……起きてあげて、チーちゃん」
あんたの将来の旦那候補を、出来るだけ安心させてやってちょうだい?
もちろん、あたしだってマブダチとして、早く起きて欲しいとは思ってるわ。
次回はまた明日〜




