145-6.いつか(カイルキア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(カイルキア視点)
姫を亡き者にしようとしている、不届き者。
その刺客は、日に日に増えているらしいが。マックスの父君から借り受けている暗部部隊達が、たいてい無力化してほとんどを自軍に引き入れたりしているのだ。
その手法は想像したくないが、確実にこちらが有利になっているので安心は出来る。
だが、己が不利になっているのをわかっていても、尚諦めないでいる愚か者のことを。
俺が直に成敗してやりたい気持ちにかられるが、処罰を下すのは伯父上である陛下だ。俺の一存で殺すことは出来ない。
それに。
「姫は……俺が人殺しをしたなどと知れば、悲しむだけですまないだろう」
昔、マックスが言っていた。
前世の世界では、人殺しが最も大罪であったと。
すぐに処刑されるかと思えば、そうでもないそうだが。
それでも、罪は罪。
償いには、死を。とまで言われているほどだったとか。
であれば、それは姫も知っているはず。
俺は、我欲で姫の安寧を願うのではない。正式に、彼女が王女に戻り、その先を共に歩むべく。婚約者として名乗り出たいのだ。
「今はまだ……耐えるしかない」
だが、こちらもまったく動かないわけにはいかない。
ゼーレンを呼んで、俺は彼に言いつけた。
「領地に不届き者が出ているのは、知っているな?」
「はっ。……旦那様、我々も動く時でしょうか?」
「基本的には、暗部部隊の掩護だ。判断は任せるが、出来るだけ殺すな」
「はっ」
執事もだが、メイミーを含める一部の使用人達は武芸に優れた者達だ。
いわゆる、俺の護衛でもあるが。
外部に頼り過ぎも良くないが、それだけでは自衛にはならない。いくら特殊訓練を受けている暗部部隊でも人間は人間だ。疲弊くらいするはず。
いい加減、俺の手の者が動いてもいいだろう。他の領地を任せている部下にはまだ知らせていないが。
「……どうして、これ以上穏便に事が運ばないんだ」
ただでさえ、姫には真実を告げられない状態が続いていると言うのに。
それは、俺の気持ちも含めて。
俺のは後回し……でも、良くない。
日に日に、愛おしさが増しているのに、告げられないのは辛い。
姫はどう思っているのだろうか?
孤児だったと言う理由で諦めているのだろうか?
出来れば、諦めないで欲しい。俺達は相愛だと告げたいのに。
神のご意向で今は出来ない……。
「神よ。その先とはいつなんですか……?」
それが式典の日なら、あと約半月。
そこまで待てば、俺と姫の想いは報われるのだろうか。
次回はまた明日〜




