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142-3.魔法訓練出張①

お待たせ致しましたー






 *・*・*








 今日のおやつが終わってから、いきなり悠花(ゆうか)さんに呼ばれたのだ。



「フィーが来れなくなったから、あたしが直々に訓練するわよん?」



 と言って、レイ君を元の銀色の虎に戻して。動きやすい格好に着替えた私と一緒にロティも彼の背に乗せて。


 しゅぱーつ! と言ったら、空を駆けてお屋敷からかなり離れたところまで連れて行かれたのだった。



「悠花さん。悠花さんが、訓練してくれるって」


「フィーんとこが忙しくて、全然来れないそうなのよん。だーかーらー、あたしとかたまにカイルが先生役になるってわけ」


「カイル様も?」


「『氷の守護者』の名は伊達じゃないわよー? あんまり、他人に教えることはなかったけど」



 氷の守護者。


 文字通り、カイル様は水系統でも氷の魔法に長けているらしく。魔物(モンスター)を倒す時でも氷に閉じ込めてから砕いたりとか。


 と言うのを、昨日のデートで教えていただいたんだけど。



「すごいんだね?」


「まあね? けど、あたしの 雷刃砲(サンダークルス)には負けるわよん?」


「悠花さんは有名過ぎるもん」



 かく言う私も、あのパーティーにいなきゃ知らなかったけど。


 とりあえず、かなり開けた場所まで飛んだら、悠花さんがレイ君に降りるように指示した。



「さ。着いたわよー」



 草もなく、乾いた土の上。


 砂漠とかではないけど、降ろしてもらったら結構固い感触が靴裏でもわかった。



『でふぅううう!』


「広いねー?」


「ここなら、思う存分ぶっ放せるわよん?」



 物騒な事を言っているけど、訓練だからしょうがない。


 何回か、裏庭で訓練はしたけど。加減してもらっているから、悠花さんの実力をほとんど出せていないから。


 ……出されちゃ、ひ弱な私なんて、ピューって飛んで行っちゃうだろうけど。でも、SSランクの冒険者さんに直々に指導してもらうんだから、頑張らなくちゃ。



『最近、貴族の屋敷を付け狙う馬鹿な連中がいるらしいのよね? チーちゃんも、ちょっとだけ自衛を覚えた方がいいわ〜?』



 と言うわけで、悠花さんとはマブダチと言う理由で訓練してもらうことに。


 まずは、日本人らしく準備体操。


 レイ君はまだ虎の姿のままで、ロティは見様見真似で一緒にやってくれていた。



「いっちにーさんし! さぁて、訓練と言っても超簡単よ?」



 悠花さんは自分の獲物である、大振りの大剣を背中に背負ったのだった。



「何すればいいのー?」


「魔法攻撃で、あたしを一歩でもいいから動かしてみなさぁい? ロティちゃんと協力してでもいいから」


「えぇ!?」


『でっふ! ロティもがんばりゅでふ!!』


「け、怪我しない??」


「だーから、レイがいんのよ。こいつの結界を張って、その耐えた圧力が大きければあたしも動くわ」


「で、出来る……かなあ?」


「あんたの魔力はあたしよりも上かもなんだから、大丈夫大丈夫!!」


「えー?」



 未だにステータスが見れないけども。レクター先生にケッセンを治してもらってからは、魔法訓練は順調だった。


 順調過ぎるくらい。


 最近はバタバタしててサボりがちだったけど。……もし、お屋敷が襲撃されて何も出来ないままよりかはずっといい。


 なので、レイ君の結界が展開されている間に、私はロティと向き合った。



『頑張るでふ!』


「ロティは、いつもの結界以外だと何が出来るの?」



 質問すれば、ロティは可愛く腕組みをするのだった。



『にゅー。基本はぼーぎょでふ! 守る役目でふ! 攻撃は一個だけ覚えているでふよ!』


「なになに?」


黒球(ブラックボール)でふ!』


「……どんな魔法?」


『にゅう! 触れたとこから、消えちゃうんでふ!』


「……怖いから、出来るだけやめとこうか?」


『あい!』



 悠花さん達なら大丈夫かもだけど。


 普通の精霊じゃないロティの能力は未知数だからだ。

次回はまた明日〜

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