141-1.勲章の知らせ
お待たせ致しましたー
*・*・*
楽しかった遠出も無事に終わり。
特にフラグとかイベントとかはなかった、いいやないようにしちゃったけど。でも、告白だなんてやっぱり無理で。
好きな人と一緒に過ごせるだけで、よかった。だから、これでいいんだと自分に納得させて。
ただ、お屋敷に戻ってから。何故かいらっしゃった人物にちょっと驚いたけど。
「おかえりなんだぞー!」
なんでか、いつもよりおめかしされたシュライゼン様が出迎えてくださったのだ。
「た……だいま、です」
「おかえりなんだぞ! 可愛くおめかししてるね! お兄ちゃん、嬉しいんだぞ!」
「……何をしにきた?」
「カイル、怖いんだぞ!!」
カイルキア様の顔は振り返らないと見えないが、怖いらしいのでやめておいた。
「……何の用だ」
「チャロナのために来たんだぞ!」
「私……ですか?」
「ふふーん! 実は陛下から預かり物があるんだぞ!!」
「へ、陛下!?」
この国の国王陛下が、なんで……と思ったが。思い出した。
私は一度、陛下のご意向で授賞式をしていただいたのだ。内容は今は牢屋にいるらしいあのアンポンタン貴族の、捕縛についてだが。
場所はこのお屋敷だったけど、使者の方々に来ていただいてきちんと式をやっていただいた。
だから、私はある意味この国では位は低くても、お貴族様と変わりない位置にいるそうだ。
なら、また陛下から何かお知らせをいただいてもおかしくはない。
ひとまず、場所を玄関からカイルキア様の執務室に移動したのだ。
執務室には、レクター先生と悠花さんが待っていてくれた。
「ただいま戻りました」
「おかえり〜ん」
「おかえり、二人共」
「よーし! 揃ったから、説明するんだぞ!!」
と、シュライゼン様はカイルキア様の机の上に置いていたらしい書類を持ってきた。
そして、はい、とまず私に渡したのだが。
「勲章……授与……式典!?」
「ほう?」
「ほう? じゃ、ないですよ!? カイル様、私また何かしてしまったんですか!?」
「……あるとすれば」
「んふふー? チャロナは一番凄い事をしてるんだぞ??」
「え?」
「まだこの国だけとは言え、【枯渇の悪食】で潰えたパンとかを復活させたんだぞ!!」
「え、でも」
たしかに、異能と私の前世での経験があったから可能に出来たことだが。
それが、何故陛下から?
まさか、シュライゼン様とかお師匠様が持ち帰った、あの時のを!?
「あ、陛下には今までのパンは召し上がっていただいたんだぞ?」
「♡☆♪@&#%{$}!?」
その真実に、思わず言葉がうまく紡ぐことが出来ず。
私は書類を手にしたまま、倒れそうになった。間一髪で、カイルキア様が床にチューする前に抱き止めて下さったけど。
「チーちゃん? あん時も使者の連中に食べさせたでしょ? こいつの親父さんもいたんだし、陛下にも行ってておかしくないって」
「だ、だ、だからって!?」
「謙遜しなーいの。あんたの実力なんだから、もらえるもんはもらっときなさいよ?」
「うう……」
いいんだろうか、本当に。
たしかに、この世界で失われた食文化を復活させたのは本当だけども。
「あ、式典は城でするんだぞ!!」
「え!?」
これには、流石に。
私は受け止め切れずに、その場で気を失ってしまったのだった。
次回はまた明日〜




