139-4.襲撃失敗(???視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(???視点)
何故だ。
何故、近づけない!?
上から情報を流され、長年行方不明になっていた王女殿下が現公爵家の領地に滞在しているとわかり。俺達暗殺者は依頼通りにその領地に向かったのだが。
道中、どこの所属かはわからないが、妨害されたのだ。
「…………どこの手のものか、答えなさい」
綺麗な、声だった。
男から女か分かりにくい。だが、研ぎ澄まされた剣のように、相手の心臓を突き刺すような声。
今まさに、俺や他の連中ども全員の前に。暗殺者特有の短剣を突きつけてきた黒ずくめの連中。
俺には、わかる。声から若い連中だとは想定出来ていても、こいつらは相当の手練だとわかる!?
「……言わなかったら?」
「問答無用で尋問しますよ? ここで」
「……どこの者だ!?」
「言ってどうなりますか? 下手したら命を落とすかもしれないのに」
若いのに、俺達を消すくらいの躊躇いもないということか。だが、手ぶらで戻れば、それもまた同じ。
しかし、ここで尋問されてもその後が保証されているとも限らない!!
「おーい、隊長? さっさと、やらねーの? こいつら始末したところでわんさか出てくんだろ?」
俺の目の前の野郎が隊長らしく、部下らしい無鉄砲な男がとんでもない発言を口にした。
(……そうだ。俺達が戻っても戻らなくても関係ない)
今回の雇い主は、理由は述べなかったが行方不明になっていた王女殿下の暗殺をしろと告げただけ。
報酬の羽振りが良かったので俺や部下達は受けたのだが、待ち構えていた相手が悪かった。流れるように攻撃をいなして、無効化させてきた若い連中。
今攻撃をして逃げようにも、武器で喉元をいつでも掻き切る手前状態なので誰も逃げれないのだ!!
「……そうですね。ただ、面倒なのでこれらに相手にしてもらいましょうか?」
そう言った途端。
俺が次に正気に戻った時は、どこかの地下牢に閉じ込められていたのだった。
(……どこだ? ここは?)
俺以外にも、気を失って拘束されている部下や同僚も同じように捕らえられたのか。
ひとつだけわかったのは。
俺達は生かされてはいるが、いずれ殺されるだろうと言うこと。
暗殺者なのだから、世間的に顔向け出来ない職業だからだ。
「……お主らが、王女殿下を狙った輩か」
俺を捕らえたらしいあの声ではなく、もっと体格が良さそうな男だった。
口は猿ぐつわをかまされていたが、目はそのままだったので顔を上げれば。
鉄格子の向こうに、いたのは。
この国で知らぬ者はいないとされている将軍閣下のお目見えだった。後ろには、俺達を捕らえたらしいあの黒ずくめの連中が二人ほど控えていた。
「…………」
「まあ、今は言えんだろうが。王女殿下を仮にも襲撃しかけた罪は罪。身をもって、更生させてやろうではないか」
更生?
処罰ではなくて?
俺達は死なないのか、と思った後に。
数日後に、魔の巣窟に放り出されるとは思わず。俺達は半分男を捨てたのだった。
次回はまた明日〜




