137-4.第四回パン教室③(アイリーン視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(アイリーン視点)
ああ、やはり王女殿下のパン作りには敵いませんわ!
ふわふわで柔らかく、とてもベチョベチョするパン生地を。丁寧に、そして美しく成形なされて。
しかも、早く型にどんどん入れて行かれた。初心者のわたくし達では到底敵いませんわ!!
ですが、あまりの労力にわたくしもですが、慣れていない皆様はお疲れの状態ですわ!
「お姉様……何故そのように平気ですの?」
「私も多少は疲れていますよ? あとは慣れですね? ここでお世話になってから毎日作っていますし」
「そうですの……」
エイマーのお姉様もですし、レイバルス公まで。奥深いですわ、食パン作りとは!
けれど、今日は来られなかったおばあ様のためにも。わたくし、頑張りますわ!
あとは発酵と言う段階を注意しておくだけらしいのですが、これがとても大変だそうですの。
「この世界の普通では、ロティが変身出来る発酵器がありません。自然発酵も可能ではありますが、だんだんと冬に近づいてくるので濡れ布巾を被せても膨らみにくいんです」
「ふむ。であれば、どうすればいいのかの?」
「そこで、フライパンです!」
「「「「フライパン!?」」」」
焼いてしまうんですの? と思えば。深めのフライパンに熱湯を入れてしまいました。
「シュライゼン様、アイリーン様」
「ん?」
「はい!」
呼ばれたので、返事はしましたわ!
「ここまでと発酵。気づくことはありませんでしたか?」
「え、えー?」
「わたくし達がですか??」
ここで突然の質問。
まったくの予想外ですわ!
しかも、家庭教師と同じような質問の仕方。わたくし武道はともかく、勉強は苦手ですの!
お菓子作りは好きでおばあ様とお母様に習っているので好きですが、質問をされたことはない。
ですが、今ここでシュライゼンお兄様と一緒に質問されたのはきっとわけがあるはずですわ。
アーネストおじ様とカイザーおじい様にはお聞きしませんでしたもの!
(膨らむ……フライパン……お湯。……あ)
「リーン」
シュラお兄様も気づかれたのか、わたくしを見ました。
「多分同じだと思いますわ!」
「うむ! 一緒に言おう!」
「はい!」
「……では、答えをどうぞ」
「「蒸し料理!/ですわ」」
わたくしとお兄様の共通点は、定例会でのお菓子作りを指導する側だったこと。
それと、お姉様の質問するタイミングはきっとそれですわ!!
すると、お姉様は手をぱちぱちと叩き出しました。
「正解です。蒸す……水蒸気を利用して温めるので、フライパンでゆっくりと発酵することも出来なくないんです。金属の型がほとんどなので、直接お湯に浸して大丈夫なんですよ」
「ほう? わざわざ魔導具でなくとも、フライパンで膨らむのかい?」
「今お見せしますね?」
出来上がった食パンの型を、フライパンにはめて。フライパンの蓋をしてから、お姉様だけの技能、時間短縮で時間を操作して。
蓋を開ければ、たしかに。型の半分以上まで綺麗に膨らんだ生地がありましたわ!!
「食パンの場合は、単純に膨らませるだけでもダメです。成形の状態が悪いことで、焼いた時に白い部分に大穴が空いてしまうんです」
「ふむふむ、ふむふむ! たしかに、それは一大事じゃ」
「今日もし出てしまっても、白い部分はくりぬくので大丈夫だと思います」
「ほう?」
そこからは、お姉様の銀製器具から深めのフライパン、魔石が燃料のコンロ、を取り出して。ロティちゃんの魔導具以外にも、実践するためにそれぞれ発酵をさせましたわ。
ただし、時間がかなりかかるので。お姉様の技能のひとつ、タイマーで時間を計りながら全員でひたすらチーズを削りました。
次回はまた明日〜




