136-1.お祝いのエンガディナー①
お待たせ致しましたー
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錬金術師のお弟子になったとは言え、私の本分は世界で潰えた料理……特にパンなどの主食を正しく世に広めることだ。
お師匠さんも、とりあえずは肩書きを増やしただけだから、特別教えることは今はない。と言うより、ロティが変換出来る業務用家電を実現化させるのに、協力しなければいけない。
その点を除けば、私の日常はいつも通り。
今日は、せっかくなので。カレリアさんにアーネストさんのお弟子になったと報告するのと一緒に。悠花さんに連絡はお願いして、フィーガスさんにこちらへ来てもらうのをお願いしたのだ。
「なんだなんだ? あの爺様の報告はたまげたもんだが、俺に何をして欲しいんだ?」
「フィーガスさんには、カレリアさん宛……と言うよりも、おふたりのおめでたについて。お祝いの品をお贈りするお話はしましたよね?」
「おう」
「今日はその品を作るので、フィーガスさんにはお持ちになっていただければ、と」
「なるほど。姉妹弟子になった記念も兼ねてか? 俺はそれだけでいいのか?」
「はい。時間短縮で手早く作るのでお任せください!」
「ほいよ」
作るのは、秋になって少しなので。クルミとキャラメルたっぷりの『エンガディナー』!!
パン屋に勤めていた時に、ケーキ担当のパートさんと一緒に仕込んでいたので作り方は覚えている。
「素晴らしい響きのお菓子なんだね? チャロナくん、将来の義姉のためだ。私も手伝うよ」
「ありがとうございます」
そう言えば、カレリアさんはエイマーさんの義理のお姉さんになるんだった。けど、カレリアさんはエイマーさんをお姉さんのように慕っているらしい。
色々事情があるけど、いいよね?
おやつの方は、シェトラスさんお得意のイチゴのババロアをプリンアラモード風に仕上げるだけなので。人手はレイ君がいるので大丈夫らしいです。
「まずは何を作るんだい?」
「タルト生地です!」
「タルト……? それにしてはフルーツも何もないんだが?」
「タルト生地を二枚くらい使って、内側にクルミとキャラメルたっぷりのフィリングを挟み込むんですよ!!」
「サクサクのタルト生地に……ううん。想像力が足りない。美味しそうだとは思うが」
「試食用も兼ねて、二つ作りましょう!」
「わかった!」
まずは、タルト生地。
無塩のバター
粉糖
塩
卵黄
薄力粉
この材料で、手早く作っていきます!
先に下準備として、ロティの天火機でクルミをロースト。銀製器具からタルト型を取り出して、バターを塗っておき。
バターと卵黄は室温に戻してるものがあったので、それを使う。粉は振るっておくこと。
「先に、バターをクリーム状にします」
「クッキーと似てるね?」
「そうですね? サブレと言うクッキーと食感が似てるんです」
「ほう?」
ほろっと崩れて、中のクルミとキャラメルのフィリングとも抜群に合う。
だから、私はお祝いにとこのお菓子を選んだわけで。
「練ったら、粉糖とひとつまみだけの塩を入れてさらに混ぜます」
甘い中にほんの少々だけ、塩が効いている。少し暴走しがちなフィーガスさんの、手綱を握れるカレリアさんのようだと思ったのは内緒だ。
次回はまた明日〜




