133-3.中華まんシリーズ③(レイバルス視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(レイバルス視点)
驚いたでやんすよ。
チャロナはんが作ったのに、全然美味しくないものが出来上がるだなんて。
やっぱり、技術もだがレシピも大事だと思った。精霊でしかない俺っちでも、マスターのお陰で食事をするようになったから、よくわかった。
この世界が、【枯渇の悪食】によって一度は食が潰えてしまったせいだ。人間達の業の深さと言えば、精霊としてならそれで済ませていたが。
マスターやチャロナはんと関わってきたお陰で、その考えは変わった。
正しい調理法がわかれば、技術が伴えば、美味しい美味しい料理が出来る。その正しさと楽しさが分かると、精霊であれ、ロティを想う存在であれ、自然と手伝うようになった。
だからこそ、チャロナはんの手製なのに、美味しくないパン皮のような代物には心底驚いた。
「じゃ、蒸します!」
蒸し器の方法は、孤児院で作ったこれまでの蒸しパンとはほとんど同じらしい。ただし、アンコとは違って肉の方は火を通していないから、じっくりと蒸す必要があるらしく。
それぞれ、チャロナはんの『タイマー』を浮かばせて、時間をセットさせて。
蒸し器の蒸気に混じる、いい匂いに精霊ゆえに鼻のきく俺っちは蕩けそうな表情になった。
『いい匂いでやんすー』
「ふふ。片付けしている間に出来ると思うわ」
『やんす!』
『でっふ!』
ロティが変換しない間は定位置となった、俺っちの頭の上に乗ってから。俺っちは鼻歌を歌いながら洗い物を終わらせ。
調理台も綺麗に拭いてから、ロティと火傷しない距離で蒸し器の前に立った。
『こっちは肉の方でやんすねぃ? ちょっと甘いのに、小麦と肉の匂いでなんとも言えないいい匂いでやんす!』
『にゅ! おにーしゃん、ぜぇったい美味ちーでふよぉ!! にゃかにチーズ入れたり、ちゃけのこ入れたりー! 色々ありゅでふん!!』
『美味そうでやんすねぃ?』
以前のパン粥以来、ロティとこうやって話すのも久しぶりではあるが。
ロティもチャロナはんも体調を崩すことも無くなってきたし、いいことでやんす。
次はあんまん、次はゴマあんまんと匂いを嗅いでいくと、蕩けるような甘い匂いにすぐにでも食べたくなってしまう!!
と感心してたら、タイマー完了の音があちこちで響き渡り。チャロナはんがアイテムから取り出した木の棒にしては綺麗な、一本の細い棒を蓋を開けた中に差し込んで。
湯気で見えにくいが、いい感じだと頷いたのか。その蒸し器の中身を、料理長に頼んで用意していた大皿に乗せて。
近くに、何故かショーユをたらした小皿を置いたのだった。
「?? チャロナくん、これはショーユかい?」
「はい。お酢も少し混ぜてあるタレ……ソースです。皮の味付けは薄めなので、ちょこっとつけて食べてみてください」
「『「なら……!」』」
チャロナはんの言う通りに食べようとしたでやんすが。
出来立てのパン以上に熱過ぎて、俺っち達はなかなか持てなかったでやんす!!
それから、少し湯気が落ち着いてから。下に敷いてた紙を剥がして、ショーユベースのタレをチョンチョン。
まだまだ熱いので、ちょっとだけ口に頬張れば!!
ふわふわ熱々で肉汁たっぷりの、うんまいマンジュウと出会えたでやんす!!
次回はまた明日〜




