133-2.中華まんシリーズ②
お待たせ致しましたー
生地のベンチタイムが終わる頃には、具材の準備がすべて完了したので。
軽くこねて、分割してまた丸めたら今度は包む用に平たく伸ばすが。
「パンと少し違うんですが。中に具材を入れて蒸すので、真ん中は厚めに。外側は薄くて大丈夫です」
「「ほう?」」
「特にお肉の方は、お肉と玉ねぎの水気が出てきますので生地に水分を吸わせる役割もあります」
今回、包むのは私の担当なので、こし餡はあんまんのように表面は艶々で閉じ目は下。ごま餡は見分けがつくようにあんまんのようにしてから、ごまを少し載せる。
肉まんは、私や悠花さんには馴染みのある渦巻きになるように包み込んで、上は閉じて。
クッキングシートを、シェトラスさん達と一緒に切り分けたら肉まん達の底に敷いて。銀製器具から取り出した、蒸し器と蒸籠。あと、魔石コンロも出して。
蒸し布も出して、手分けして詰めたら。下の鍋のお湯を沸騰させる前に二次発酵をしなくちゃいけない。
「ふむ。形や材料が違うけど、やはりパンみたいだね?」
「ホムラでは余った生地だけを蒸して食べる方法もありました。……人気はなかったでしたけど」
「うーん? 君が作ってるところしか知らないからだけど。私には想像しにくいね?」
「でしたら。一度作ってみます」
昔のレシピの方が体には染み付いていたので、時間短縮も使わずにささっと作ってみせたが。
フライパンで仕上げた、皮だけの蒸しパンのようなものは、とてもじゃないが美味しそうには見えなかった。
けど、シェトラスさんはためらうことなく、少し冷めてからその具なし饅頭を食べてくださった。
「……これは。たしかに」
ひと口、ふた口食べてからすぐにお茶を取りに行かれてしまった。
「同じ作り手でも、これほどレシピの有無で違うとは。いやはや、最近麻痺してたよ。チャロナちゃんの異能のお陰で、私達は恵まれてたね?」
シェトラスさんの言葉に、エイマーさんやレイ君も食べてみてくれたが。すぐに、げんなりとした表情になったのだ。
「これは……」
『チャロナはんが作るの見てたのに……料理長が言ってた通りでやんす。俺っちがマスター達と旅で口にした時と同じでやんすよ』
『にゅー……もちゃもちゃでふぅ』
私も試しに食べてみたが、懐かしい食感でも美味しく感じなかった。そして、美味しくなかったからか、『幸福の錬金術』も何もアナウンスが聞こえてこなかった。
「とにかく。これがホムラの現実だと思うと、皇帝陛下が私を指導員にする理由もわからなくないです」
「時期が整えば、きちんと行っておいで?」
「はい!」
とりあえず、今は今のレシピで美味しくお饅頭が出来るか。
二次発酵も終わったので、蒸し器のコンロに火を点けたのだった。
次回はまた明日〜




