128-6.今はまだ(フィルド視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(フィルド視点)
またひとつ。
この世界の神々の頂点に立つ俺が。
ヒトの子に嘘をつけさせなくてはいけなくなった。
影から、あのクラットって言う坊やの起きる様子を見たが。術はちゃんとかかっているようで少し安心出来た。
幼い子とは言え、姫の秘密をまだだいたい的に知られてはいけない。
あの年頃だと、明日姫がやってきたら問い詰めてしまいそうだから。そうなると、俺やユリアが骨を折るくらい大変な術を施さなくてはいけない。
それは、少々大変ですまなくなる。
術を施すのは簡単でも、辻褄を合わせる云々。とりあえず、拡散する前に止められてよかった。
俺はクラットが思い出そうとしているのを確認してから、談話室から離れた。一応男性職員の制服を着ているが、バレないうちにと透明化するのだった。
『お疲れ様、間に合ってよかったわね?』
透明になってからユリアが念話で話しかけてくれた。話を聞くのに、俺は適当な廊下の壁にもたれたのだった。
「ま。間に合ってよかった。術直後の副作用はあったけど、明日の定例会でそれも消えるだろうから。俺が出来るのはとりあえずここまでだ」
『そうね? あと少しでシアも起こさなくてはいけないし、姫のレベルアップも順調だわ』
「そ。豆乳のプリンはまだ作ってないんだっけ?」
『ええ。けど、ホムラからようやく取り寄せたゴマで。美味しそうなゴマ団子を作ってたわ』
「え〜、いいなー美味そう」
我が孫の世界。姫とマックスが元いた世界である蒼の世界の料理。それを模倣していると思われるがむしろ逆だ。
【枯渇の悪食】が起きる前の食文化を、孫達の世界で模倣しているのだ。その中でも、レイアークの世界は特化しているのは誰に似たか。
写身くらい似ている。だから、俺やユリアは姫やマックスの死んだ魂をこの世界に引き込んだのだ。
もちろん、魂の繋ぎである、結ばれる相手がこの世界の者達であることを選別してからだが。
まさか、今までの苦労が報われるくらい、順調過ぎるのが神としては少し恐ろしくもある。
だから、今回は失敗してはいけない。
俺やユリアに出来る最善の策を、慎重にやっていくのだ。
とりあえず俺は、転移で狭間に移動してから服も元の青いものに変えた。
「今、シアが起きたわ」
「にゅ〜……眠い」
本当に今の今で起きたのか、ぐしぐしと顔を擦っていた。精神年齢がまだまだ幼いので、赤ん坊同然でも仕方がない。
近づいて髪を撫でてやれば、ギュッと俺にしがみついてきた。
「ただいま」
「じーじ!」
いくつになっても、孫は可愛い。
男の孫達は結構生意気に育っちゃったけど。
ディーシアのように、素直に育って欲しいと言う願いもある。この子の番になる予定でいるフィーにも。
出来れば素直に育って欲しいけど、もう手遅れだ。
一番上の孫に顔が似て、真ん中の孫のレイに似てクソ生意気。
仕方がないけど、俺は俺に出来ることをしよう。
今は、明後日あたりの豆乳プリンを楽しみにしなくては。
次回はまた明日〜




