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125-5.安堵していたが(シュライゼン視点)

お待たせ致しましたー







 *・*・*(シュライゼン視点)








「無事で良かったんだぞ……」



 魔法鳥にて報された、ホムラでの孤児院の襲撃。


 その孤児院が、よりにもよってマンシェリーやシュィリンがかつて過ごした場所。加えて、現在の院長が母上の元乳母。


 その院長が誘拐され、孤児院は死傷者を出すくらい酷いあり様になったそうだ。


 いつかは、もう一度でいいから戻りたいと言っていたマンシェリーの願いを叶えられないのではないかと落胆しかけたが。


 誘拐された院長は無事に取り戻せたらしい。が、助けた冒険者達のメインが、マンシェリーが所属していたパーティーだったそうだ。


 魔法鳥で簡易的に報された、アシュリンからの一報にはとりあえずそのように書かれていたのだ。



「……ああ、本当に。無事でよかった……」



 父上の執務室で一緒に読んだので、父上も読み終えてから椅子に深々と腰掛けた。どうやら、力が抜けたらしい。



「……しかし。何故、あの孤児院に襲撃が……? 姫様があちらを離れてもう二年以上経たれていらっしゃいますし」



 爺やも読んだ後に、片眼鏡をかけ直したんだぞ。


 その疑問には、俺も父上も唸るしかない。



「たしかに。マンシェリーの情報を知っているのは、ごく一部だ。信頼している臣下達だし、強固派についてもほとんどが神のお怒りに触れて退化させられてしまっているのに」


「……しかしながら。完璧とまではいいかねます。どこからか情報が」


「おい、何をしている!?」



 執務室の外が急に騒がしくなってきたので、なんだろうと扉を開けたら。


 黒ずくめの男か女かわからない人物が、近衛騎士に引っ捕らえられていた。



「……これは?」


「殿下! 今この者が陛下の執務室に攻撃魔法をかけようと」


「なに?」


「離せ!」


「……とりあえず、顔を出せ」


「はっ!」



 騎士が被っている布を取れば……見覚えのある貴族の顔立ちが現れた。



「……強固派の父を捕らえられたものか」


「……………………」



 退化させられ、家を追いやられた貴族の一員。俺はこれでも貴族名鑑をすべて覚えているからね!



「……察するに。家を再興させるのが難しく……苛立ちを王家に向けたところか?」


「…………貴方様になにがわかる!?」



 そして、王太子の俺に向けるには不敬過ぎる表情でつっかみかかってきたが。当然、近衛騎士達に止められ事情を吐き出させた。


 マンシェリーの情報は、あの一斉に退化させられた貴族だった者からそこそこ同士に広まっていき。


 彼女がホムラの孤児院で過ごしたことも、何故か広まっていたので。生誕祭が催すことも知った一部が、マンシェリーを利用するのに孤児院を襲って、院長である母上の元乳母を誘拐。


 しかし、ホムラ側で情報が伝わるのが早く、誘拐も途中で失敗したので。腹いせに、事情を吐かせた男が独断で俺達を襲おうと計画。


 ま、結果的には失敗したけど。とりあえず、まだまだ吐かせるのに尋問官を呼んで、牢屋で実施させることになった。



「警護を厳しくしても。漏れているのでは収集がつかないな……?」


「我々も、話題を控えたいところですが」


「俺やシュラの執務室に、さらに防音の結界を張ろう。おびき寄せるきっかけとなれば、今回のように尻尾を掴ませられる」


「悪い顔をしてるんだぞ、父上?」


「当然だ。俺を怒らせたからなあ?」



 カイルのとこは、山あいだから刺客とかが出向くことはないと思うんだけど。


 念のために、マザーが無事だったことも含めて魔法鳥は飛ばせたんだぞ。

次回はまた明日〜

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